出産育児一時金、さらに4万円引き上げへ

 厚生労働省は12月12日の社会保障審議会医療保険部会で、2009年10月から11年3月までの暫定措置として、出産育児一時金を4万円引き上げる方針を示した。

 それによると、来年1月から38万円(現在は35万円)となる出産育児一時金を、緊急の少子化対策としてさらに全国一律に引き上げる。厚労省は引き上げ額について、「4万円程度という方向で検討している」とした。保険者に対する国庫補助については、保険者への影響の度合いに応じた重点的な補助を検討するとしている。

 これに対し、健康保険組合連合会(健保連)の対馬忠明専務理事は、「産科医療が厳しい状況にあるというのは承知しているが、われわれ保険者も未曽有の財政悪化に苦しんでいる状況にある。国の財政が厳しい中で、非常にご尽力いただいているのは分かるが、財源捻出(ねんしゅつ)が難しい、確保が難しいということであれば、そういう範囲で単価の設定や期間を設定するのが筋ではないかと思う」と述べた。

 全国健康保険協会の小林剛理事長は、「引き上げには少子化対策の観点からできるだけ協力したいと考えている」としながらも、「協会は財政基盤が弱く、中小企業も経済情勢が極めて厳しい状況にあるので、こうした状況を考慮してぜひ国庫補助をお願いしたい」と要望した。

ひざ軟骨の自然再生に成功

 運動で負荷が掛かり、故障しやすいひざやひじの関節。北海道大大学院の安田和則教授(整形外科)らの研究グループは、不可能とされてきた関節軟骨の自然再生に、ウサギを使った実験で成功したと30日までに発表した。ひざを痛めた中高年層やスポーツ選手のけがの治療に応用できる可能性があるという。論文はドイツの学術専門誌「マクロモレキュラー・バイオサイエンス」電子版に掲載された。
 安田教授によると、2種類のゲル状高分子化合物を北大が開発した独自の手法で組み合わせ、軟骨に分子構造が似た新たなゲル素材を開発。ウサギのひざ関節軟骨の欠損部に埋め込んだところ、4週間で軟骨が再生した。副作用は出ていない。 

塩分多いとナゼ高血圧

 食事などで塩分を取りすぎた際に、「コレクトリン」というタンパク質が腎臓で働いてナトリウムを体内に取り込み、血圧を上昇させているのを岡山大の和田淳講師(代謝内科学)らの研究チームが突き止め、米医学誌に発表した。

 食塩に含まれるナトリウムが血圧を上げるのはよく知られているが、体内調節の詳しい仕組みは分かっていなかった。和田さんは「コレクトリンの働きを調節する物質が見つかれば、新たな高血圧治療法につながりそうだ」と話している。

 熊本大や米デューク大との共同研究。

血糖値抑制に肝臓が関与

 肝臓で特定のタンパク質を活性化させ、血糖値を抑えるインスリンを作る膵臓の細胞を増殖させる仕組みを、東北大の片桐秀樹教授(代謝学)らのグループがマウス実験で発見した。糖尿病の新しい治療法につながる成果で、21日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 グループは肥満になると(1)肝臓にあるタンパク質「ERK」が刺激を受け活性化(2)インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が増殖−することに着目。

 ERKの活性化がβ細胞増殖の引き金ではないかと考え、ERKが活性化しやすくなるようにマウスの肝臓に遺伝子を導入。その結果、β細胞が増え血糖値が下がることを確認した。多くのβ細胞が死んだ糖尿病のモデルマウスでは同じ方法でβ細胞が再生した。

 この現象は肝臓や膵臓と脳をつなぐ特定の神経回路を閉ざすと生じず、β細胞の増殖を導く神経ネットワークの存在を示している。ERKの活性化はがんを招く恐れがあるが、神経ネットワークのどこかを刺激することでERKと同じ効果が期待できるという。

 片桐教授は「体が元来備えている仕組みを用いて、β細胞を再生できることを示せた。新たな再生医療の確立に結び付けたい」と話している。