日焼け止めや保湿ケア製品の紫外線カット成分として一般的に使われている化学物質は、男性不妊の原因になる可能性があるという調査結果を米国立衛生研究所がまとめた。
研究チームは環境化学物質と妊娠や出産との関係を調べる目的で男女500組を対象に実施している調査の一環として、男女から採取した尿の成分を継続的に調べ、妊娠するまでの期間との関係を比較した。
その結果、妊娠までに長期間かかったカップルには、日焼け止めなどに使われている「ベンゾフェノン2(BP-2)」「4HO-ベンゾフェノン」という2種類の化学物質が、男性の尿から高い濃度で検出されるという共通点があることが分かった。この化学物質は保湿ケア用品やシャンプーにも使われている。
研究を主導したジャーメーン・バック・ルイス氏はこの2つの物質について、「紫外線をカットして日焼けを防ぐといった用途については安全と考えられている。しかし健康増進という点ではどうなのか」と問いかけ、この分野は研究が進んでいないと指摘した。
ただ、BP-2や4HO-BPがどのような仕組みで男性不妊につながり得るのかについては解明されていない。
バック氏によると、メーカーに対して製品に使われている化学物質の開示を義務付ける法律はなく、ラベルにも情報は記載されていない。化学物質についての研究が進んで健康上の問題があることが分かればその状況も変わるかもしれないという。
研究チームは消費者に対し、日焼け止めをよく洗い落とすようアドバイスしている。
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