九州大生体防御医学研究所の鈴木聡教授(ゲノム腫瘍学)らの研究グループが、がんの進行を左右するメカニズムに「PICT1」というたんぱく質が関わっていることを突き止めた。
生存率を高める新薬の開発につながる可能性があり、1日、米科学誌電子版に発表する。
研究では、細胞核の核小体の中に、PICT1が存在することを発見。正常な細胞の場合、PICT1は「リボゾームたんぱく質」と結合しているが、PICT1を消失させると、リボゾームたんぱく質が核小体から出て、がん細胞の増殖を抑制する「p53」と結合し、p53の働きを活性化させることがわかった。
また、がん患者のPICT1と生存率の関係も調査。食道がんでは、PICT1が少ない患者の5年後の生存率が1・7倍になり、大腸がんでも1・3倍になることが確認された。