妊婦にワクチン90%の効果 インフル免疫

 妊娠中に季節性インフルエンザワクチンを接種した女性には、感染や重症化予防に必要な抗体が90%の確率で生成され、胎児にも十分な免疫力が備わることが19日、国立成育医療センター(東京)の研究で分かった。

 一般の人に比べ、安全面に慎重な配慮が必要で研究対象になりにくい妊婦や胎児について、インフルエンザワクチンの有効性を免疫学的に立証した報告は海外にも例がないといい、研究を主導した同センター母性内科の山口晃史医師は「副作用も認められなかった。新型インフルエンザ用ワクチンも製造法は基本的に同じなので、同様の効果が期待できる」としている。

 研究は一昨年から昨年にかけ、同センターに来院した妊娠15?39週の女性125人(25〜41歳)を対象に実施。病原性を除去したA型2種、B型1種のウイルス株を含む不活化ワクチンを使い、接種前と接種1カ月後の血中の抗体価(免疫力を示す指標)を調べた。

 その結果、45人は接種以前に3種すべてのウイルスに免疫があり反応は鈍かったが、残り80人の90%に当たる72人は、ワクチンに明確に反応。免疫のないウイルスに対する抗体が急増し、十分な免疫力の目安とされる「抗体価40倍」を超えた。8人は反応したものの程度が不十分だった。

 研究論文は近く米ウイルス学専門誌「ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジー」に掲載される。