胎児の脳内時計リズム、母親の食事時間が影響

東北大学病院周産母子センターの太田英伸助教らの研究グループは、妊娠母体の食事スケジュールが胎児の脳内時計リズムに大きく影響することをラットの実験で突き止めた。睡眠などに影響を及ぼす脳内時計は、昼夜の光条件に反応してリズムを形成しているが、今回の研究により、母体が正常な光条件を体験していても、食事を摂るタイミングが不規則になると胎児の脳内時計パターンが変化してしまうことがわかった。

 生活中の哺乳(ほにゅう)類の脳内時計は、視床下部にある「視交叉上核」が中心的な役割を果たしており、視交叉上核は目から光情報を受け取ってリズムを形成している。実験では、2匹の妊娠ラットそれぞれに朝型・夜型の食事スケジュールを与え、昼夜の区別ある同一の光条件下で22日間管理した。その後、帝王切開で胎児を取り出し、母親と胎児の視交叉上核の活動のリズムを比較した。

岡山県内で新たに3市町で採血器具の使い回し判明

採血器具の使い回し問題で、岡山県は4日、井原市井原町の小田病院、和気町田賀のつるの里クリニックの2医療機関と、吉備中央町の健康教室で不適切な使用があったと発表した。いずれも針は交換していたが、器具本体をアルコール消毒して再利用していた。3カ所の対象患者ら計約160人の健康被害は報告されていないが、今後、血液検査を行う方針。

 県内では、西粟倉村国民健康保険診療所(同村影石)でも同様の使い回しが判明。県は16日を回答期限に、病院や社会福祉施設など約1900カ所を対象に実態調査を行う。

<ビスフェノールA>基準以下でも胎児に影響

 プラスチック製品の原料になる化学物質ビスフェノールAが、現行の安全基準以下でも胎児や新生児に影響を与えることを国立医薬品食品衛生研究所(衛生研)などがラット実験で確認した。厚生労働省はこのデータを踏まえ、内閣府の食品安全委員会に評価を諮問する検討に入った。

 実験では、母ラット5群に、妊娠6日目から出産後20日まで、ビスフェノールAを毎日投与。与えない群も含め、胎盤や母乳を通じた影響をみるため、生まれた子の発情期など性周期を約20匹ずつ長期間観察した。

 大人に相当する生後7カ月になって比べると、人の1日摂取許容量の体重1キロ当たり0.05ミリグラム、それ以下の0.005ミリグラムと、同40ミリグラム以上の高い量を与えた3群の計5群の子ラットに発情期が続くなど乱れが起きた。

 ビスフェノールAについて環境省は04年、魚類で内分泌かく乱作用が推察されるとしたが、人への影響は認められないとしている。

 衛生研の菅野純・毒性部長は「性周期の異常は、ビスフェノールAが中枢神経に影響を与えたためと考えられる。大人は影響を打ち消すが、発達段階にある胎児や子供には微量でも中枢神経や免疫系などに影響が残り、後になって異常が表れる可能性がある」と分析している。

 ビスフェノールAについて米政府は4月、「胎児や子供の神経系や行動に影響を与えたり、女子の早熟を引き起こす恐れがある」とする報告書をまとめた。カナダ政府もビスフェノールAを含むプラスチック製哺乳(ほにゅう)瓶の輸入、販売、広告を禁止する方針を示している。

ビスフェノールAとは

 ポリカーボネート樹脂の原料。丈夫で軽いため、パソコン、携帯電話などさまざまな用途に使われている。環境ホルモン問題で、微量が熱湯で溶け出す哺乳瓶や食器は代替品に切り替わったが、輸入品など一部では使われている。

姉の凍結卵巣を移植、機能が回復 米の31歳

がん治療で卵巣の機能を失い、姉(32)から凍結した卵巣組織の移植を受けた米国人女性(31)の卵巣機能が回復したことがわかった。遺伝情報が同じ一卵性ではない姉妹間の移植で、機能が戻ったケースは世界初とみられる。

 移植は、米ミズーリ州のセントルイス不妊センターで日米グループが昨年10月に実施した。同2月に姉の二つの卵巣のうち一つを移植する手術を試みたもののうまくいかず、凍結保存しておいた卵巣の表面の一部を妹に移した。センターのシャーマン・シルバー博士らが手術を、日本の不妊治療施設が組織の凍結や融解作業を担当した。

 女性は、悪性リンパ腫の治療で受けた放射線治療のため、卵巣機能を失っていた。移植手術を受け、4月下旬に月経の再開が確認された。移植した組織は今後、3〜6年ほど働き続けると期待されている。女性は出産を望んでいるが、生まれた子は遺伝的には姉の子となる。

 卵巣の凍結技術はまだ確立していない。ただ、米では、不妊と関係なく若いころに凍結しておいた卵巣組織を、閉経近い時期に自身の体に戻したり、他人が利用したりする卵巣バンクにつながる技術としても注目されている。