体外受精 流産にストレスが関係

ホルモン量変化 調査で判明

 卵巣機能障害や体外受精後の流産には、ストレスが関与する可能性があると、ウィメンズクリニック神野(東京都調布市)の神野正雄院長が、日本産科婦人科学会で発表した。

 神野院長は、ストレスに関係するコルチゾールというホルモンに注目。卵巣機能障害の患者157人について、唾液(だえき)に含まれるコルチゾール量の1日を通しての変化(日内変動)を調べた。

 コルチゾールの濃度は通常、朝が最も高く、夜寝る前に低くなる。ところが、卵巣機能障害がある人の48%は、コルチゾール濃度の日内変動に乱れがあった。

 一方、体外受精の成功率をみると、妊娠率はコルチゾールの日内変動と関係なかったが、妊娠後の流産率は、日内変動の乱れが激しいほど高くなった。

 神野院長は「不妊患者さんのストレスを客観的に評価でき、予想以上に流産に影響することがわかった。ストレスへの配慮が、治療成績の向上につながる」と話している。

コレステロール、低い方が危険

血中の総コレステロール値が低い人は死亡リスクが高いことが28日までに、浜崎智仁富山大教授、大櫛陽一東海大教授らの研究で分かった。特に男性の場合、総コレステロール値が高いほどリスクが低くなる傾向がみられた。
 大櫛教授らの別の疫学調査では、「悪玉」とされるLDLコレステロールで同様の傾向がみられた。
 4月から始まる特定健診では、LDLが一定値以上だと受診勧奨となるが、浜崎教授は「コレステロールを悪者にする説はもともと米国から来たもの。米国は心臓疾患や肥満が多く、体質が違う。不必要な人まで薬物治療の対象になる」と懸念している。
 同教授らは、コレステロールと死亡率に関する国内の疫学調査を検索し、「5000人以上を5年以上追跡」などの条件で5本の文献に絞り込み、延べ約17万3500人分を「メタ分析」という手法で解析した。 

バイアグラ使用で精子損傷 不妊の可能性

24日の英紙デーリー・テレグラフ(電子版)によると、男性の勃起不全治療薬、米ファイザー社のバイアグラを使用すると、精子の一部が損傷して不妊の原因になる可能性があることが英クイーンズ・ユニバーシティ・ベルファストのデイビッド・グレン博士の研究で分かった。

 グレン博士の研究チームはバイアグラの薄い溶液につけた精子と普通の精子を比較。その結果、バイアグラ溶液の精子は活発に動くようになったが、精子核を覆う袋状のアクロソームが損傷していた。

 精子が卵子を覆う透明帯に結合すると、アクロソームの膜が壊れ内部の酵素が放出され、精子が透明帯を通過できる。アクロソームが損傷すると、精子の透明帯通過率が下がり、不妊の原因になりかねないという。

 バイアグラを投与したマウスの受精率も通常より40%も低かった。

 グレン博士は同紙に「バイアグラを長期使用すると不妊の原因になる可能性がある。不妊治療中のカップルが使用するのも事態を悪くしかねない」と話している。

代理出産、原則禁止に

 不妊の夫婦が妻以外の女性に子どもを出産してもらう代理出産の是非を検討していた日本学術会議「生殖補助医療の在り方検討委員会」(委員長・鴨下重彦東京大名誉教授)は30日の会合で、代理出産を法律で原則禁止し、営利目的での実施は依頼者を含めて処罰すべきだとする報告書案の内容に大筋で合意した。

 一方で、代理出産の是非を判断する科学的データは不十分だとして、国の厳重な監視の下で試行的に実施する臨床研究の道も「考慮されてよい」と道を残した。

 3月までに最終報告書を発表し、政府と与野党は法整備を求められることになるが、国会議員の間でも賛否をめぐり意見が分かれており、曲折が予想される。

 報告書案は、代理出産によって代理母となる女性が被る身体的・精神的負担や、生まれてくる子どもの心に与える影響などの問題点を重視。法律によって禁止すべきだと結論づけた。

体験者の視点で不妊治療を紹介

「病院での不妊治療」ではなく、「人生、生活の一部としての不妊治療」を伝えたい。そう願った看護の専門家やカウンセラーが本をまとめた。「あなたらしい不妊治療のために」。不妊治療を決めたときから始まる悩みや複雑な感情とどう向き合うのか。望んだ結果が得られなくても、納得できる治療の受け方のアドバイスが盛り込まれている。

 編者は、聖路加看護大教授の森明子さん、不妊カウンセラーの浜崎京子さん、ジャーナリストのまさのあつこさんの3人。

 医師ではない、看護と体験者の視点にこだわった。不妊カウンセリングについての対談では、医療機関の選び方、医師とのつきあい方に加えて、治療をやめる時期の考え方に触れ、「自分なりの治療の区切りの目安を持っておくことが大事」とした。

 10人の体験談は示唆に富む。保険のきかない連日の注射、全身麻酔による採卵、職場に隠しての通院に疲弊し、「不妊治療は負け続けるギャンブルだ」と思った女性の話。別の女性は、不妊治療を始めてうつ状態になったが、「妊娠できなくても自分の人生に悔いのないように」と思い始めたら、自然妊娠したという話。待合室の重苦しい雰囲気がつらかったという男性は、妻との治療に対する考え方の違いに戸惑い、悩んだ体験談を寄せた。

 森さんは「不妊治療は、始めるとのめりこんでしまいがち。これから受けようという人も、今受けている人も、ぜひ立ち止まって考えてみてほしい」と話す。