ビール大ビン毎日1本以上の女性、乳がん1・75倍に

 毎日ビールを大ビン1本以上飲む女性は、まったく飲まない女性に比べて、乳がんを1・75倍も発症しやすいことが25日、厚生労働省研究班の調査で分かった。

 岩崎基・国立がんセンター予防研究部室長らは、岩手県や大阪府、沖縄県など10地域で40歳〜69歳の女性約5万人を13年間追跡調査。飲酒などの生活習慣と乳がん発症の関連を調べた。

 お酒をビールに換算して週に大ビン7本(アルコール150グラム)以上飲む人は、年齢や体重、喫煙歴、妊娠回数などを考慮しても、まったく飲まない人に比べて、乳がん発症の危険性が1・75倍高かった。週に1回以上飲む人では、1日に缶ビール1本弱(同10グラム)飲むごとに、危険性が6%ずつ増えた。

 アルコールが分解してできる発がん性物質のアセトアルデヒドなどが、乳がんを促進するらしい。岩崎室長は「飲酒によって大腸や肝臓がんの発症リスクが高まることが知られている。女性も飲み過ぎには気をつけて」と話している。

治療薬で健康被害、入院患者の5人に1人

 治療のための薬で健康被害を受けた入院患者が5人に1人に上ることが東京、京都、福岡の病院を対象にした調査でわかった。軽微な副作用から命にかかわる深刻な例まで計千件以上あり、重い被害が4割近かった。京都大などの研究グループによると、調査担当者を派遣し、病院の協力を得てカルテや検査データなどを綿密にチェックし、薬が関係した健康被害を拾い出す研究は国内初という。

 3病院は入院ベッドが500床以上。大学病院ではないが、多くの診療科があり各地で中核的な役割を担う。研究グループの森本剛・京都大大学院講師(臨床疫学)らは他の医療機関でも同様の問題がある可能性があるとみて、被害の未然防止や重症化防止の仕組みづくりを訴えている。

 研究グループは2004年1〜6月、産婦人科と小児科を除く3病院の全診療科で15歳以上の3459人について調べた。

 薬の種類や量を間違えて症状が悪化したような明らかな間違いを始め、通常の治療の範囲内で、鎮静薬を多量に投与された高齢者の意識レベルが低下したり、消化管出血、アレルギー反応、下痢、腎機能の低下などが起きたりした例も含め「薬剤性有害事象」として集計。投与直後だけでなく継続的に観察した。

 調査結果によると、726人に1010件の有害事象があった。このうち14人(16件)が死亡し、集中治療室での治療や人工呼吸器などが必要になる「生命にかかわる」被害が46人(49件)、消化管出血や発熱、血圧低下など「重度」の被害が272人(330件)に見られた。

 死亡例では、抗菌薬の使用後にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症になり、治療が間に合わなかったケースや、抗菌薬による腸炎や下痢、非ステロイド系抗炎症薬を使った後の消化管出血などがあった。

 グループは、有害事象の14%、141件が医師の指示や薬剤師のチェックなどの「エラー」によるもので、他のより良い手段で経過を変えられた可能性があると判定。うち83件は「防止可能」、58件は症状の緩和や期間の短縮ができたとみる。同じ効能の複数の薬が重複投与される前に薬剤師が点検するなど、医師以外が処方内容を検討すれば防げるものがあるという。

 調査担当者が最初に気づいたのが141件中46件、院内報告制度で報告されていたのは19件にとどまった。

 森本講師は「薬剤性の有害事象は見逃されやすい。把握のための一定の基準を作り、担当薬剤師らが日常的に患者の症状をチェックし、速やかに医師に伝える仕組みを導入すべきだ」と話す。

体内時計の乱れで血圧調整ホルモン過剰にて高血圧

 24時間のリズムを刻む体内時計が乱れると、高血圧になりやすくなる仕組みを京都大の岡村均教授らが解明した。

 治療薬の開発や高血圧が引き金となる病気の予防などにも役立つと期待される。医学誌ネイチャーメディシンに14日発表した。

 生体リズムの乱れは、肥満や高血圧を引き起こし、実際、昼夜交代勤務者に高血圧が多いことが知られている。しかし、詳しい仕組みはこれまで分からなかった。岡村教授らは、体内時計「Cry1」と「Cry2」の働かないマウスに、塩分の多い食事を与えると、高血圧になりやすいことを発見した。血圧を調整するホルモンが過剰に分泌されているためで、このホルモンの分泌には、副腎で作られる酵素が関与していることがわかった。酵素は体内時計で、朝低く夜高いように調整されているが、体内時計が働かないと、ずっと高いままだった。

 人間でも生活リズムが崩れると、Cryが刻むリズムに乱れが生じる。副腎の酵素は人間にもあることから同じ仕組みが働いている可能性が高い。

 岡村教授は「実際の高血圧の患者で、体内時計や酵素に変化が生じているか調べて、薬などの開発に結びつけたい」と話している。

精子の“守護神”発見 タンパク質がDNA保護

 哺乳類の精子がつくられる際に、遺伝情報が正しく伝わるようにDNAを保護しているタンパク質を、京都大の中馬新一郎助教らのチームが発見し、15日付の米科学誌デベロップメンタルセルに発表した。

 中馬助教は「いわば精子の守護神。男性不妊症の診断や治療法の開発に役立つと期待される」と話している。

 チームは「Tdrd9」というタンパク質を合成できない遺伝子操作マウスを作製。雄のマウスの精巣を調べると、DNAに自分自身を次々にコピーする「転移性遺伝子」と呼ばれる小さな遺伝子が異常に増殖し、精子が全く形成されないことが分かった。雌マウスは生殖機能に異常がなかった。

 このタンパク質は通常、転移性遺伝子を抑制する役目を果たしているらしい。チームによると、男性が原因の不妊症は全体の3〜5割を占め、中でも無精子症が最も深刻。中馬助教は「人の精巣でのタンパク質の詳しい働きについて産婦人科医と研究を進めたい」としている。

妊娠中の授乳は流産と無関係

 授乳をすると子宮が収縮し流産になるとして、明確な根拠がないまま国内の産科医療機関で中止を指導されることの多い妊娠中の授乳について、浜松市の産科医が、授乳は流産と無関係とする論文を日本産科婦人科学会の学会誌に発表した。

 石井第一産科婦人科クリニック(浜松市)の石井広重院長は、96〜00年に同院で第2子の妊娠が確認された20〜34歳の女性のカルテをもとに分析。第1子が満期産(妊娠37週以上42週未満に出産)で流産の経験がない人で、授乳中だった110人と、授乳していなかった774人を比較。授乳群で流産は全体の7.3%に対し、授乳しない群は8.4%で、有意な差はなかった。石井院長は「母乳育児は母子双方にメリットがあり、禁止はすべきでない」と話す。

 日本赤十字社医療センターの杉本充弘周産母子・小児センター長は「データに基づき、無関係とはっきり示した論文は国内では初めて。中止を指導していた施設は方針転換した方がよい」と話している。