体験者の視点で不妊治療を紹介

「病院での不妊治療」ではなく、「人生、生活の一部としての不妊治療」を伝えたい。そう願った看護の専門家やカウンセラーが本をまとめた。「あなたらしい不妊治療のために」。不妊治療を決めたときから始まる悩みや複雑な感情とどう向き合うのか。望んだ結果が得られなくても、納得できる治療の受け方のアドバイスが盛り込まれている。

 編者は、聖路加看護大教授の森明子さん、不妊カウンセラーの浜崎京子さん、ジャーナリストのまさのあつこさんの3人。

 医師ではない、看護と体験者の視点にこだわった。不妊カウンセリングについての対談では、医療機関の選び方、医師とのつきあい方に加えて、治療をやめる時期の考え方に触れ、「自分なりの治療の区切りの目安を持っておくことが大事」とした。

 10人の体験談は示唆に富む。保険のきかない連日の注射、全身麻酔による採卵、職場に隠しての通院に疲弊し、「不妊治療は負け続けるギャンブルだ」と思った女性の話。別の女性は、不妊治療を始めてうつ状態になったが、「妊娠できなくても自分の人生に悔いのないように」と思い始めたら、自然妊娠したという話。待合室の重苦しい雰囲気がつらかったという男性は、妻との治療に対する考え方の違いに戸惑い、悩んだ体験談を寄せた。

 森さんは「不妊治療は、始めるとのめりこんでしまいがち。これから受けようという人も、今受けている人も、ぜひ立ち止まって考えてみてほしい」と話す。

4つの習慣で14年長生き 英の2万人調査で判明

【ワシントン8日共同】たばこを吸わず、飲酒はほどほど、野菜と果物を十分に取り、適度な運動をする人は、そうした習慣のない人よりも14年長く生きられるとの調査結果を、英ケンブリッジ大の研究チームが米医学誌に8日発表した。

 どれも健康に良いとされる生活習慣だが、具体的な利益をはじき出した点で意義があるという。

 チームは、英南東部の45−79歳の健康な住民約2万人を対象に、1993年から97年にかけて健康調査を実施、2006年までの死亡率と生活習慣との関係を解析した。

 その結果(1)喫煙しない(2)飲酒はワインなら1週間にグラス14杯まで(3)1日に最低こぶし5つ分程度の野菜、果物を取る(4)1日30分ほどの軽い運動をする−の習慣がある人は、4つともない人より、同年齢で病気による死亡率が4分の1と低く、14年分の寿命に相当することが分かった。

暗い所で本「目悪くなる」 医学的根拠ない

20071224.jpg 米国で医療関係者にも信じている人がいるという言い伝えを七つ選び、文献データベースやインターネットの検索で医学的な裏付けを示す研究があるかどうかを調べた。

 その結果、七つとも医学的な裏付けは見つからず、80年近く前の研究ですでに否定されているものもあったという。

 論文は結びで「このような言い伝えを信じるだけなら実害はないが、根拠のない治療法を勧めることは実害をもたらす可能性がある」と、科学的根拠に基づく医療の重要さを指摘している。

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 携帯電話の医療機器への影響について、日本の総務省は06年、実験の上で「心臓ペースメーカーからは22センチ程度以上離す」などとした現行指針が妥当と結論している。

飲用水に医薬品残留

 大都市圏の浄水場の水から少なくとも25種類の医薬品が検出され、一部は飲用水にも残留していることが、厚生労働省の調査で分かった。環境省の研究班も、利根川、淀川で、医薬品50〜60種類を確認した。研究者らは、飲用水への混入はごく微量で、人の健康に直ちに影響はないとしながら、生態系への影響を懸念している。国内で飲用水への医薬品残留が明らかになるのは初めて。厚労省はさらに3年かけて、詳しく調査する。

 医薬品は、人や家畜から下水を通して環境中に排泄(はいせつ)され、医療機関の排水からも流出している。

 厚労省水道課や国立保健医療科学院などは06年2月と今年1月に、関東、関西地方の7浄水場の水で、約60種類の医薬品成分を対象に残留の実態を調べた。この結果、各浄水場から、抗生物質、X線造影剤、抗アレルギー剤など、あわせて25種類が検出された。浄水処理の過程で、残留濃度は下がったが、3浄水場では、抗高脂血症剤、解熱鎮痛剤、抗てんかん剤の3種類が、飲用水にも残留していた。残留濃度は6〜30ppt(1pptは1兆分の1)で、単一なら、体重50キロの成人が70年飲み続けても、健康への影響はまず心配ない値だった。ただ、大半が、欧州連合(EU)が環境への影響評価を義務付けている10pptを超えていた。

 厚労省は、現時点では「直ちに対応が必要な濃度ではない」(水道水質管理室)としている。だが、国内で流通している医薬品成分は約2800種類あり、今後も3年計画で、医薬品の対象、時期、地域を広げて調べる。国立保健医療科学院の国包(くにかね)章一水道工学部長は「人への急性毒性は心配ないが、長期的影響、生態系への影響を解明する必要がある」という。

 一方、環境省の研究班(班長、田中宏明・京大教授)は05年から今年11月まで4回調査し、利根川と淀川の下水処理場の放流水や支流から、胃腸薬、抗精神病薬などそれぞれ54種類と63種類の医薬品を検出。最高で2000pptの濃度だった。

 これまでに、環境省研究班などの実験から、医薬品による環境汚染で、生物が成長、増殖を阻害される危険性が確認されている。微生物が薬剤への抵抗力を獲得する可能性も指摘されている。

 米国は98年、EUも06年に新薬の開発や販売申請で、環境への影響評価も行うことを指針で義務付けている。

 厚労省も、新薬開発で環境影響評価が必要か、検討を始める。環境省は生態系への影響がないか調べるほか、国交省も河川などで残留の実態を調べる。すでに環境省の研究班は、オゾンや紫外線を使い、浄水場で大半の医薬品を9割以上、除去、分解できる技術を開発しており、実用化に向け検証中だ。