札幌市の49歳の女性が市内の産婦人科医院で、自分の卵子と夫の精子を使った体外受精で妊娠し、昨年11月に女児を出産していたことが分かった。日本生殖医学会理事長の田中俊誠(としのぶ)秋田大教授(産婦人科学)は「自分の卵子を使った体外受精で出産した例としては、国内最高齢の可能性が高い」と話している。
不妊治療をした「神谷レディースクリニック」の神谷博文理事長によると、女性は昨年2月、卵子に精子を直接注入する顕微授精を行い、妊娠した。48歳6カ月の時に採卵した卵子だった。11月、市内の別の病院で体重約2400グラムの健康な女児を出産したという。
女性は00年から同クリニックで治療を受けていた。神谷理事長は「40歳を超えると卵子の老化が進み、妊娠・出産が難しくなる。この女性の場合は、卵子の活動が活発だったため成功した」と話す。
田中教授は「不妊に悩む人の希望になる。ただ、今回のように妊娠・出産に至るのは非常にまれで、いたずらに長期間の治療をすれば、患者にとって精神的にも経済的にも負担になる危険性がある」と指摘する。
厚生労働省の人口動態統計によると、45歳以上の高齢出産は増えているが、卵子の活動の衰えや閉経などのため、他人から卵子の提供を受けるケースが多いとみられる。
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