炎症性因子が男性不妊を誘発

炎症の最終過程で体内に残存する物質が、男性不妊の原因にもなることが米Feinstein 医学研究所(ニューヨーク州)の研究で明らかになった。研究チームは、不妊男性から採取した精液サンプル中に「マクロファージ遊走阻止因子(MIF)」の異常な数値を同定、このことが男性不妊の検査や男性避妊薬の開発につながると説明している。

 炎症は、敗血症(血液感染症)などの感染症、関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患、糖尿病や心疾患などの慢性疾患により引き起こされるが、こうした状況下では、MIFの数値が高く、組織損傷につながるケースもある。

 研究では、数日間禁欲後の生殖可能な男性27人、不妊男性68人の精液を分析した結果、不妊男性ではMIFレベルが低すぎるか、もしくは高すぎるかであった。正常レベルのMIFは、卵子との結合ができるように精子の成熟を助ける。健常な精子が入ったペトリ皿(細菌培養に用いる底の浅い皿)にMIFを加えると、精子数の減少および運動性が低下した。

 米疾病管理予防センター(CDC)によると、現在米国には210万組の不妊カップルがおり、そのうち40%は男性側に原因があるという。今回の研究結果は、米医学誌「Molecular Medicine」3/4月号に掲載されている。

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