遺伝子突然変異

遺伝子に関する性差仮説は20年程前から言われ続けてきたが、最近まで十分な遺伝子データがなく、論証は不可能であった。
先月、イスラエル・ワイツマン科学研究所のシュムエル・ピエトロコフスキー教授が率いる分子遺伝学研究チームが、遺伝子に基づく男性不妊の要因を初めて証明した。
研究チームのモラン・ゲルショーニ博士(Moran Gershoni)は、男女ともに自然選択(淘汰)は働くが、男性は女性よりも遺伝子突然変異による影響を受けやすいと述べている。
女性は突然変異のリスクがある遺伝子を自然選択(淘汰)することにより影響を回避する一方で、男性は遺伝子突然変異を回避できずに不妊症などを引き起こす傾向にあるという。
男性特有の遺伝子と不妊症の関係性
研究チームは「1000人ゲノムプロジェクト」(国際研究協力の一つ)のデータを用いて、突然変異を引き起こす遺伝子を発見した。この遺伝子は男性特有であり、女性には存在しない。該当遺伝子は、他遺伝子と比べて2倍の確率で突然変異が生じるという。
また、遺伝子突然変異は男性自身の不妊症を引き起こすだけでなく、パートナーの女性に対して影響を与えることもある。女性の生殖機能に重要となる遺伝子であるため、突然変異により女性不妊を引き起こす可能性が示唆される。
研究チームは、遺伝子に関する理解を深めることにより、性別により異なる要因に起因する不妊症における効果的な診断や治療法の発展に繋がると考えている。現在、男性特有の遺伝子が突然変異を引き起こす過程と不妊症との因果関係について追跡実験を継続中である。

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