脳梗塞治療に白血病の薬

 脳梗塞の発症初期に、白血病治療にも使われている血液や血管になる幹細胞を増やす薬を投与することで、発症後の後遺症を大幅に軽減することに東海大の研究チームが成功した。神経細胞が死ぬのを防いだり、再生したりする効果があったと見られる。7月にも岡山大(岡山市)、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)と共同で100人規模の臨床試験を始める。

 研究結果は、28日までスペインで開催中の国際脳循環代謝学会で発表された。

 脳梗塞は、脳の血管が血の塊(血栓)などで詰まり細胞が壊死する病気で、年間8万人程度が死亡する。助かっても言語障害や手足にまひが残ることが多い。短時間で血流を回復すれば、機能が戻る可能性が高まるため、急性期と呼ばれる発症後1〜2週間の治療が重要とされる。

セラピーの犬活躍紹介

飼い主に捨てられ、殺処分寸前だった雑種犬チロリを、患者や高齢者とふれあいながら、症状の緩和、回復を助けるセラピードッグの国内第1号に育てた音楽家大木トオルさん(国際セラピードッグ協会代表)の講演会(NPOえひめセラピードッグの会主催、読売新聞松山支局など後援)が6月5日午後1時、松山市道後町のひめぎんホールで開かれる。東日本大震災の被災地への訪問の合間を縫っての講演で、活躍中の犬たちも登場し、訓練を披露する。

 大木さんは東京出身で、1976年に渡米。ブルースシンガーとして活動を続けながら、約60年の歴史がある動物介在療法(AAT)の成果を知り、日本での普及を進めている。チロリを始め、動物愛護センターで殺処分が予定されている犬たちを引き取り、セラピードッグに育成。指示役のハンドラーも養成している。

 講演は「人と犬の命の絆?名犬チロリ物語?」と題し、セラピードッグの歴史や、乳がんを患い2006年3月に死んだチロリとの出会いと別れを語るほか、殺処分に使われるガス室の写真などを見せ、AATの成果なども報告。赤十字のチョッキを着た犬たちも登場し、車いすを誘導する様子などを披露する。

 現在、協会が登録しているセラピードッグは31頭、育成中を含めると約100頭がいる。大木さんは「活動を通じて、全国的に殺処分は減少しているが、愛媛でも殺処分は行われている。今後も、ガス室からの救助とセラピードッグへの育成を目指したい」と話している。

 NPOえひめセラピードッグの会の村上恵子代表は「講演会を、セラピードッグへの理解を広げる場、子どもたちに命の尊さを学ぶ機会に」と呼びかけている。午後0時半開場、入場は無料だが整理券が必要。問い合わせは、松山市光洋台のドッグカフェ「は・る・ぶ」(089・994・3398)の村上代表へ。

人間の皮膚から神経細胞

人間の皮膚細胞から、様々な細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)を経ずに、神経細胞に直接変化させることに、米スタンフォード大の研究チームが成功した。

 皮膚などの細胞から目的の細胞を直接つくる「ダイレクト・リプログラミング」と呼ばれる技術だが、人間の神経細胞ができたのは初めて。

 iPS細胞で懸念されるがん化の危険性を減らせる可能性があり、再生医療や創薬への応用も期待される。27日の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 チームは昨年、マウスの皮膚の細胞に3種類の遺伝子を加えることで、神経細胞に変えることに成功していた。

 次の段階として、難しかった人間の細胞のダイレクト・リプログラミングを実現させるため、神経細胞への変化を促す働きがある20遺伝子に着目。従来の3遺伝子に「NeuroD1」を加えた4遺伝子を、人間の皮膚細胞に導入したところ、2週間後から神経細胞と同じような形に変化した。5週間後には神経細胞に特有な遺伝子が働いていることを確認した。

 ダイレクト・リプログラミングは主にマウスで研究が進んでいるが、人間の細胞でも血液の元になる細胞を作ることに別のチームが成功している。