若年女性の更年期様症状はうつ病リスクが高い

 若い女性に原発性卵巣機能不全(POI)と呼ばれる閉経期に似た症状がみられる場合には、うつ病の評価を行う必要のあることが、新しい研究で示された。

 POIの女性は正常な量の生殖ホルモンが産生されなくなり、顔面紅潮(hot flash)や不妊などの症状がみられるほか、うつ病リスクが増大する。米国立衛生研究所(NIH)の研究グループによると、POIは早ければ20代で発症することがあるという。

 今回の研究では、POIの女性174人を対象に評価を行った結果、67%が現在うつ病であるか、これまでに少なくとも1回は臨床的にうつ病と診断されていることが判明。その比率は一般女性の2倍以上であったという。この知見は、医学誌「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism(臨床内分泌学&代謝学)」オンライン版に11月3日掲載され、印刷版にも近く掲載される予定。

 しかし、POIの女性にうつ病が多くみられる理由は未だ明らかにされていない。POI患者の多くはその診断を聞いたことが誘因となってうつ病になるのではないかとの見解もあるが、今回の研究では68%以上の女性が診断を受ける前にうつ病になっており、この理論の裏付けとはならなかった。

 研究著者の1人である米国立小児保健発育研究所(NICHD)のLawrence M. Nelson博士は、今回の研究から医師がすべきことは明らかで、「POIはうつ病との関連が強いことから、POIと診断された女性にはもれなく徹底的なうつ病評価を実施する必要がある」と述べるとともに、「単純にうつ症状はないかと患者に尋ねるだけでは不十分。プライマリケア医は治療あるいは専門医のさらなる評価が必要かどうか、診断的スクリーニング検査を行って評価する必要がある」と付け加えている。

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