体外受精「お墨付きではない」 ノーベル賞選考委員長

 【ストックホルム=竹石涼子】ノーベル医学生理学賞選考委員会のクラス・シャッレ委員長は7日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。体外受精技術の開発に対する今回の授賞について、「不妊治療に対する功績を純粋に評価した」としたうえで、「議論するべき倫理的な問題は今もあり、お墨付きを与えたというわけではない」と慎重な姿勢を示した。

 体外受精技術を開発し、医学生理学賞を受賞する英ケンブリッジ大名誉教授のロバート・エドワーズさんについて、「基礎医学の研究を進めるだけでなく、実際の治療を可能にするために自ら医師を探して協力を求めるなど、実用的な治療法の開発における功績は大きい」と評価した。

 一方で、体外受精が開いた新しい医療が不妊治療以外の分野にまで応用されていると指摘。「気に入った容姿や知能や性別などを選ぶ産みわけに使われるなど、倫理的な側面も大きくなっている。新しい技術が生まれるたびに社会として、受け入れるべきかどうか、常に議論していくべきだ」と語った。

 7日の記念講演会には、エドワーズさんとともに世界初の体外受精児を誕生させた医師のステプトーさん(故人)の家族も招かれ、「生きていたら彼も受賞したかもしれない」との声も聞かれた。

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