着床前診断を利用して出産に成功、体外受精13回失敗の母親

【9月3日 AFP】英国で、卵子の着床前診断スクリーニング(PGS)を使った世界で初めての赤ちゃんが誕生したと、関係者らが2日明らかにした。

 ミート・オリバー(Meet Oliver)ちゃんは、体外受精(IVF)に13回失敗した41歳の母親から、「アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(アレイCGH)」と呼ばれる新手法によって生まれた。

 この手法は、卵子の全染色体を分析し、染色体異常がない卵子のみを子宮に戻すというもの。今回の不妊治療を監督したCAREによると、妊娠成功率が2倍になり、流産やIVFによる多胎妊娠の確率も大幅に削減される。また、出生異常の有無も知ることができるという。染色体異常は体外受精失敗の主な原因とされるが、若い女性の2人に1人、39歳以上の女性の約75%で、卵子に染色体異常があるといわれる。

 従来の比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)が5-7日かかるのに比べ、アレイCGHは24-48時間で済むため、胚を冷凍する必要はない。オリバーちゃんの場合は、母親の卵子8個を分析し、染色体が正常なものは2個と判明。この2個を胎内に戻すとうち1個が胚を生成し、これがオリバーちゃんとなった。

 一方で、英不妊治療医協会(British Fertility Society)は最近、PGSが妊娠率を上げる、または流産率を下げることを示す強力な証拠はないとする論文を発表している。

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