不妊治療で広く行われる体外受精について、産婦人科医らで作る日本産科婦人科学会(日産婦)は、「結婚した夫婦に限る」としていた条件を外し、対象を事実婚カップルに広げる方針を固めた。
昨年12月の民法改正で、結婚していない男女間に生まれた子(婚外子)に対する法律上の差別が撤廃されたことが理由だ。国も不妊治療の公費助成の対象を事実婚カップルに拡大することを検討する。
対象拡大は、すでに日産婦理事会での了承を得ており、6月の総会で決定する。
日産婦は倫理的な観点から、体外受精や受精卵の母胎への移植について「会告」の形で、医師が守る自主ルールを策定。体外受精を結婚した夫婦に限定した規定は、国内で初の体外受精児が生まれた1983年に定めた。民法は、婚外子の遺産相続分について、結婚した夫婦の子どもである嫡出子の半分と規定しており、生まれてくる婚外子の不利益に配慮した。
しかし最高裁は昨年9月、家族形態の多様化や国民の意識の変化などを踏まえ、民法の規定を違憲と判断。これを受け、婚外子への遺産相続分を嫡出子と平等にする改正民法が、同年12月に国会で成立し、体外受精の対象を区別する必要性がなくなった。
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