英国で新たな体外受精による不妊治療法を開発

体内から採取しておいた卵巣組織サンプルをもとに、卵子を試験管で培養するという体外受精治療のまったく新しい方法を英国の不妊治療クリニックが開発したと、22日付の英紙デイリー・テレグラフ(Daily Telegraph)が伝えた。

 5年後には実用化の見通しで、女性が卵巣組織をクリニックに保存しておいて、妊娠時期を選択することができるようになる。

 場合によっては生命の危険もある卵巣過剰刺激症候群など、従来の体外受精治療に伴うリスクを排除することもできるという。

 手術の方法は、体に小さな穴を開けて数千個の未成熟な卵子を含む卵巣組織の裂片を採取し、それを冷凍保存する。その後ホルモン系化学物質を用いて未成熟な卵子を成熟化させ、体外受精に適したものにするというもの。

 「女性の体にほとんどリスクを与えずに無数の卵子のプールを採取できる上、投与する薬などの点で比較的低コストで実現する」と、この方法を開発したBridge Fertility Clinicのアラン・ソーンヒル(Alan Thornhill)氏。

「これまでの体外受精のように最高で10個ぐらいの卵子をもとに体外受精を行う代わりに、無数の卵子を卵巣過剰刺激症のリスクを冒すことなく採取できる。これまで必要だった手続きを省くことで女性には大きな利益となるはず」

 共同研究者、Care Fertility Clinicのサイモン・フィッシェル(Simon Fishel)氏は、「現時点ではこれが最高の方法だと思うが、さらに改善の余地があれば、改善したい。この方法は女性に対するリスクを排除できる選りすぐれた方法といえる」と語った。

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