インペリアル・カレッジ・ロンドン薬学部の研究チームは、新たな体外受精方法の開発に成功したと発表した。
ハマースミス病院の協力により、18歳から34歳までの女性53人を対象に新規生理活性物質「キスペプチン」を1回投与して排卵誘発を行ったところ、51人が良質な卵子を排卵した。
また、49人に対して受精卵移植を行った結果、12人の妊娠・出産成功症例が確認できたと報告されている。
研究チームによると、従来の体外受精方法では、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)注射後、長期間に亘り、薬が血流に残るため、治療を受けている全ての女性に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあるという。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)では、体外受精治療時において排卵誘発の際、卵巣が過剰に刺激されることにより腫大、血管から水分が腹膣内へ漏出し、腹水・胸水などの症状が現れる。
体外受精治療を受けている女性のうち約10%が、腎機能障害、電解質異常、血栓症、呼吸障害など深刻な症状を引き起こしている。
一方、「キスペプチン」は生殖ホルモンであるため、より自然に排卵を誘発できる。過剰に卵巣を刺激することが少なく、「hCG」より卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが少ないという。
研究者らは、「キスペプチン」による排卵誘発は治療に伴うリスク、女性の体にかかる負担を減らし、体外受精成功率を高めると期待している。現在、「キスペプチン」に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を防ぐ効果があるのか検証するため、実験が継続されている。
http://www.mysinchew.com/node/100143?tid=163
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