摂取した食物由来の遺伝物質が、遺伝子の発現に直接作用することが明らかになったそうだ(nature.comに掲載された論文、 DISCOVER blogsの記事)。
中国の南京大学の研究チームが、ヒトの血液に含まれるmicroRNA(miRNA)を調べていたところ、その一部が植物由来であることに気付いたという。最も多くみられたのはコメのmiRNAであり、被験者が食事から摂取したものであることが分析の結果確認されたとのこと。
miRNAは遺伝子の発現を制御する機能を持っているとされており、コメのmiRNA「MIR168a」を細胞内に入れるとLDL受容体レベルが低下したそうだ。これはLDL受容体のアダプタータンパク質「LDLRAP1」のmRNAとMIR168aが結びつき、LDLRAP1の発現が抑制されたことによるもので、結果としてLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が上昇する。コメを与えたマウスによる実験でも同様の現象が再現されたが、MIR168aの働きを抑える分子を注射したところ、受容体レベルは元に戻り、LDLコレステロール値が低下したとのこと。これらの結果から研究チームは、食品に含まれるmiRNAが新たな必須栄養素となる可能性もあると結論付けている。
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