やせ形の糖尿病、新たな原因遺伝子発見

 日本人に多い「やせ形の糖尿病」を発症させる危険度(リスク)を2.5倍余に引き上げる新たな遺伝子の型を東大と東京女子医大などの研究チームが見つけた。インスリン分泌を妨げる役割を持っており、分泌を制御する治療薬の開発につながる可能性もある。

 米国人類遺伝学会誌(電子版)に8日、発表する。見つけたのは、血糖値を下げるホルモンのインスリンの制御にかかわる「KCNJ15」遺伝子。生活習慣と遺伝的な要因が関係する「2型糖尿病」を対象に、患者1568人と健康な人1700人の遺伝子を調べた。日本では、欧米に比べインスリン不足で太っていなくても高血糖になる「やせ形の糖尿病」と言われる。

 病気になりやすい遺伝子の型だと発症リスクは約1.7倍、体格指数BMI(体重〈キロ〉を身長〈メートル〉の2乗で割った値)が24以下の太っていない患者だと約2.5倍という。欧米人と比べ、この変異は日本人に多いこともわかった。

 これまで膵臓(すいぞう)でインスリンの分泌を促す「車のアクセル」のような遺伝子は見つかっていたが、今回見つかった遺伝子は逆に「車のブレーキ」のような役割という。