環境省は来秋から、母親の胎内に蓄積された化学物質が子どもの発育や健康に与える影響について、大規模な調査に乗り出す。
妊婦10万人から血液や尿などを採取して150種類以上の化学物質を分析、その後の子どもの健康状態を継続的にチェックする。小児ぜんそくの罹患(りかん)率が20年間で3倍に増えるなど、子どもの健康異変は近年、多数報告されている。化学物質の影響を指摘する声もあるが、因果関係は科学的に解明されておらず、同省では「長期的な調査で検証したい」としている。
調査は人口20万〜100万人規模の15都市に住む妊婦10万人の協力を得て、血液や出産時のさい帯血、母乳などを採取。ビスフェノールAなどの内分泌かく乱物質や、ダイオキシン類、水銀、カドミウム、ヒ素などの濃度を測定する。
その後、子どもが12歳になるまで数年に1度の面談と、半年に1度のアンケート調査を実施。〈1〉低体重などの発育状況〈2〉ダウン症などの先天異常〈3〉自閉症や学習障害、注意欠陥・多動性障害(ADHD)など〈4〉アレルギー、アトピーなどのほか、生活習慣や家庭環境についても調べる。
文部科学省の学校保健統計によると、過去30年で肥満傾向にある子どもの割合は1・5倍に増加。国際先天異常監視機構の調査でも、ダウン症や尿道下裂などの先天異常は25年間で2倍に増加したとの結果が報告されている。
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