昨年11月、第1子が誕生したばかりの女子プロレスラー、ジャガー横田(45)が3月11日、出産後初の試合にのぞむ。デビュー30周年記念大会(ホテルラフォーレ東京)で、最近はママさんタレントとしての活躍も目立つが、レスラー魂はまだまだ健在だ。
ジャガーは6人タッグマッチと、計30人が参加するバトルロイヤル形式の試合に出場する。「産後というのは意識していない。リングの上ではジャガー横田。家族のことは忘れて試合に臨む」と力を込めた。
待望の長男大維志くんを授かってから3カ月。今は基本の受け身とブリッジから、体を作り直しているという。
年齢的に早期復帰は異例にも思えるが、夫で医師の木下博勝さんは「ジャガーの中でプロレスが占める割合は99%。それを取り上げるのは死ねというのも同然。心配がないと言えばうそだが、華麗にやってくれるでしょう」。当日はリングドクターとして妻をサポートする。
他の参加選手も30周年にふさわしい豪華な顔ぶれだ。アジャ・コング、豊田真奈美、ダンプ松本ら一線級のレスラーに加え、ジャガーの同期で往年の人気選手ミミ萩原の参戦も話題だ。
団体の分裂など、人気低迷が続く女子プロレス界で、これだけの選手が集まるのもジャガーの存在感が大きいからだ。アジャ・コングは「女子プロレスが氷河期の中、ジャガーさんの活躍は励み。今も背中を追いかけている」と言う。
ジャガーが復帰戦で背負うのは、プロレス界だけではない。42歳で結婚。「妊娠の可能性は数%」と言われながらも、あきらめずに不妊治療に取り組み、44歳で自然妊娠、45歳で出産したエピソードは、多くの人を勇気づけた。
木下さんは「自分たちは奇跡を与えてもらった。これで終わりではなく、不妊への偏見や、精神的苦痛を取り除くのが我々の使命」と話す。
ジャガーの思いも同じだ。「不妊治療もそうだったけど、年齢のことを考えてはだめ。プロレスは家族同様に大切なもの。一つのことを一生懸命やっている姿を見て欲しい」