がん治療費自己負担、年101万円

 国内のがん患者が1年間に支払う治療関連費用の自己負担額は、1人平均100万円を超え、高額療養費制度などの償還額を差し引いても年間40万円近くにのぼることが、濃沼信夫・東北大教授(医療管理学)の調査で分かった。

 29日、京都市内で開催中の日本癌治療学会学術集会で発表した。

 調査は2004〜09年、がん治療を行う約50医療機関の患者約6600人(平均63歳)に、領収書や家計簿を見ながら支出額を記入してもらった。

 その結果、医療機関で支払う治療費に、健康食品や民間療法などに使った費用も含めると、自己負担額は1人年間101万円。高額療養費制度や民間医療保険などの利用による償還・給付額は平均で年間63万円で、それを差し引いても年40万円近い出費になる。

 中には、経済的な理由で治療を変更・断念した患者も3%程度いた。

 一方、日本医療政策機構が昨年、約1600人のがん患者らから回答を得た意識調査では、治療費について約7割が「とても負担が大きい」「やや負担が大きい」と回答している。

 濃沼教授は「長期間にわたり高額の費用を負担しているがん患者は多い。経済的な理由で適切な医療を受けられなくなることがないよう、医療制度を抜本的に改革する必要がある」と話している。

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