確立した治療法がない特殊なタイプの糖尿病患者を、胃の中にいるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)を除くだけで完治させることに、東北大医学系研究科の片桐秀樹教授と岡芳知教授らのチームが成功した。胃潰瘍(かいよう)や胃がんの原因の一つとされるピロリ菌は、一般に糖尿病には関係ないとみられていた。英医学誌ランセットに発表した。
この患者は男性で、血糖値を下げるインスリンの働きを妨害する抗体を自分でつくってしまう「B型インスリン抵抗症」という糖尿病を発症していた。治療中にピロリ菌が見つかり、投薬して除菌した。すると4カ月ほどで抗体が消え、糖尿病の指標も正常になった。1年後も症状は現れず完治と判断された。
ピロリ菌感染で、抗体をつくる免疫機構に異常が起きた可能性がある。片桐教授は「この糖尿病は数万〜数千人に1人と推測される。除菌が根治の治療法になれば福音だ」と話す。
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