「腹7分目」健康の元

 摂取カロリーを約3割減らすと、糖尿病やがんといった加齢に関連した病気で死ぬ確率が3分の1に減ることが、米ウィスコンシン大チームがアカゲザルを使った約20年間の実験でわかった。米科学誌サイエンスに発表した。

 摂取カロリーの制限で老化を防げることは線虫やショウジョウバエ、マウスなどでは確認されているが、霊長類ではよくわかっていなかった。

 チームは89年以降、計76匹のアカゲザルについて、好きなだけエサを食べさせるグループ(38匹)と、摂取カロリーをそれより3割減らすグループ(38匹)に分けて飼育した。このうち、いまも生存しているサル(平均27歳)は、カロリー制限したサルが20匹、好きなだけ食べさせたサルは13匹だった。

 飼育中に死んだサルを解剖して調べると、糖尿病やがん、心血管疾患、脳の萎縮(いしゅく)など加齢性の病気で死んだ割合が「カロリー制限なし」で14匹に上り、「制限あり」5匹の約3倍に達していた。

 実験開始時の年齢は7〜14歳の大人。このことからチームは、大人になってからカロリー制限をすることで、加齢性の病気の発病を減らし、老化を遅らすことができた、としている。

 カロリー制限で寿命が延びる仕組みはまだ不明だが、糖の代謝機能の改善がかかわっているとみられている。今回の成果について、京都大病院老年内科の近藤祥司助教は「人に近いサルでカロリー制限の効果が示されたことはすばらしい。ただ、人の場合にどの段階でカロリー制限をすればいいかなど、難しい問題も残っている」と話す。

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