岡山大大学院の山田浩司講師(細胞生物学)らの研究グループは25日までに、精巣内で精子が順調に育つために「アンフィファイジン」と呼ばれる特定のタンパク質が関係していることを、マウスで確認した。精子数減少などを伴う男性不妊症のプロセス解明が期待される成果で、米国細胞生物学会誌(電子版)に発表した。
精子は精祖細胞として誕生した後、精母細胞、精子細胞へと成熟し、精細管に放出される。その過程で「セルトリ細胞」が自滅分を吸収したり、余分なタンパク質などが付いた精子細胞を正常に整形するという。
グループは、精巣内にありながら働きが不明だったアンフィファイジンに着目。遺伝子操作で同タンパク質が生まれないマウスと、正常なマウスで、精子になりきれていない精細管内の精子細胞がどの程度セルトリ細胞に付着したかを調べた。その結果、同タンパク質がないマウスは正常マウスの2倍の量があった。
グループは、アンフィファイジンがセルトリ細胞が担う整形作業を助けている、と分析。アンフィファイジンが働かないと、精子生成のスピードも遅くなるとみている。
男性不妊のメカニズムはまだ解明されていないが、山田講師は「アンフィファイジンをセルトリ細胞に補うことで、正常に近づけることも期待できそう。研究を進め、精子形成不全治療につなげたい」と話している。
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