ミトコンドリア注入、女性4人から5人誕生

体外受精の際に、女性の卵巣から採取した細胞内の小器官「ミトコンドリア」を使って卵子を活性化させる新たな不妊治療の手法で、妊娠した4人から国内で初めて5人の子供が生まれたと、大阪市北区のクリニックが21日、発表した。
 この治療法は米国で開発され、加齢で老化した卵子の質の改善を図る「卵子の若返り」などとしても注目されている。世界では200例を超す実施例があり、30人以上が生まれている。
 日本でも、平成27年12月に日本産科婦人科学会が臨床研究として実施を認めていたが、有効性や安全性に懸念を示す専門家もいる。
 実施したのは、「HORACグランフロント大阪クリニック」。森本義晴院長によると、28年1月からこれまでに21人の女性がこの治療を受けたという。
 事前に腹腔鏡手術で摘出した卵巣組織の一部からミトコンドリアを採取し、父親の精子と一緒に卵子に注入。6人(27〜44歳)が妊娠に至り、今年の2月から6月にかけて4人(27〜36歳)が出産した。
 内訳は男児2人、女児3人の計5人で、男女の双子も含まれる。一般的な体外受精は1回あたり60万〜70万円だが、この治療は170万円ほど。クリニックでは今後も治療や生まれた子供の追跡調査を続け、安全性の確認を行う。
 森本院長は「子供の健康状態はいずれも問題ない」とした上で、「卵子の質を上げることができる治療は画期的だ。従来の不妊治療では妊娠が難しい人でも妊娠の可能性が高まった」と話している。

エストラジオールの血中濃度が2500pg/mlを越える場合、胎児は低体重になる確率が高まる

ウェイルコーネル医科大学の研究チームは、「Human Reproduction」にて、新鮮胚移植において、超生理学的濃度のエストラジオールが低体重児の独立予測因子に成り得ると発表した。
エストラジオールの血中濃度が2500pg/mlを越える場合、胎児は低体重になる確率が高まるという。

エストラジオールとは
女性ホルモンには2種類あり、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)に区分される。
エストラジオールは、エストロゲンの主要構成要素である。最も強い生理活性をもち、分泌が盛んなホルモンといわれる。

エストラジオールと低体重児の因果関係
現状、体外受精における低体重児の要因は解明されていない。
先行研究では、排卵誘発剤による卵巣刺激にてエストラジオールが過剰に分泌した場合、胎児が低体重になる可能性が高まると提言している。
エストラジオール過剰により盤機能不全が引き起こされ、低体重児のリスクが増えるという。

臨床試験と展望
臨床試験は、2005年から2014年に掛けて、新鮮胚移植による体外受精を受けた女性を対象に実施された。女性6419人が妊娠・出産に至った。(単胎妊娠4071人、多胎妊娠2348人)
臨床試験より、在胎期間と低体重児の発生割合は、体外受精の卵巣刺激にて分泌されたエストラジオール量に影響を受けると判明した。
エストラジオール量が2001〜2500pg/mlにおける低体重児の発生割合は6.4%、3501〜4000pg/mlでは20.7%であった。また、エストラジオール量が2500pg/mlを上回る場合、低体重児の発生割合は6.1倍から7.9倍に増えたという。

研究チームは、エストラジオール量と低体重児には因果関係が成立すると報告し、体外受精の卵巣刺激にてエストラジオール量を抑制する重要性を強調している。

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