Ovarian response to controlled ovarian hyperstimulation: what does serum FSH say?

ユトレヒト大学医療センターの研究チームは、「Human Reproduction」にて、リコンビナントFSH製剤150IU/日、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)注射による排卵誘発効果に関する論文を発表した。
これまで、卵胞反応は、hCG注射の投与量と血中の卵胞刺激ホルモン(FSH)量において一貫性はないとされてきた。
研究チームは、2009年3月から2011年7月にかけて、39歳以下のhCG注射150IU/日を投与する女性124人を対象に臨床試験を実施した。hCG注射接種日、月経開始2日目における血中の卵胞刺激ホルモン量を測定した。
hCG注射2IU/Lの場合、卵巣刺激に対して、反応不良16人、通常反応32人、反応過剰16人であり、効果量・検出力は80%となった。
55.0〜85.6キロ(中央値70キロ)、52.0〜94キロ(中央値68.0キロ)、51.0〜78.0キロ(中央値60.6キロ)にて体重別による卵巣刺激効果を分析したところ、血中の卵胞刺激ホルモン量は、反応不良と反応過剰では有意差が生じた。
血中の血清卵胞刺激ホルモン量において、反応不良16人は平均値9.5IU/L(標準偏差2.4)、通常反応94人は平均値10.4IU/L(標準偏差2.2)、反応過剰17人は平均値11.5IU/L(標準偏差2.2)であった。
hCG注射接種日の卵胞刺激ホルモン量により決まると考えられている。
一方、臨床試験では、血中の卵胞刺激ホルモン量が、卵巣反応に対して必ずしも影響を与えていないことが判明した。
研究チームは、年齢、体重、血中の卵胞刺激ホルモン量と抗ミュラー管ホルモン(AMH)量より、hCG注射接種日における血中の卵胞刺激ホルモン量と卵巣反応・採卵数には相関関係がないと述べている。

Human Reproduction

エストラジオールの血中濃度が2500pg/mlを越える場合、胎児は低体重になる確率が高まる

ウェイルコーネル医科大学の研究チームは、「Human Reproduction」にて、新鮮胚移植において、超生理学的濃度のエストラジオールが低体重児の独立予測因子に成り得ると発表した。
エストラジオールの血中濃度が2500pg/mlを越える場合、胎児は低体重になる確率が高まるという。

エストラジオールとは
女性ホルモンには2種類あり、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)に区分される。
エストラジオールは、エストロゲンの主要構成要素である。最も強い生理活性をもち、分泌が盛んなホルモンといわれる。

エストラジオールと低体重児の因果関係
現状、体外受精における低体重児の要因は解明されていない。
先行研究では、排卵誘発剤による卵巣刺激にてエストラジオールが過剰に分泌した場合、胎児が低体重になる可能性が高まると提言している。
エストラジオール過剰により盤機能不全が引き起こされ、低体重児のリスクが増えるという。

臨床試験と展望
臨床試験は、2005年から2014年に掛けて、新鮮胚移植による体外受精を受けた女性を対象に実施された。女性6419人が妊娠・出産に至った。(単胎妊娠4071人、多胎妊娠2348人)
臨床試験より、在胎期間と低体重児の発生割合は、体外受精の卵巣刺激にて分泌されたエストラジオール量に影響を受けると判明した。
エストラジオール量が2001〜2500pg/mlにおける低体重児の発生割合は6.4%、3501〜4000pg/mlでは20.7%であった。また、エストラジオール量が2500pg/mlを上回る場合、低体重児の発生割合は6.1倍から7.9倍に増えたという。

研究チームは、エストラジオール量と低体重児には因果関係が成立すると報告し、体外受精の卵巣刺激にてエストラジオール量を抑制する重要性を強調している。

human reproduction