妊婦健診をほとんど受けずに出産するケースについて、平成22年の大阪府内の状況を調査した大阪産婦人科医会が「乳幼児虐待につながるリスクが高い」とする報告書をまとめ、9日発表した。未受診を胎児に対する虐待ととらえる一方、未受診の女性自身が虐待や家庭内暴力の被害者だったケースも多いといい、同医会は児童相談所の迅速な介入を求めている。
調査は、大阪府内で分娩を取り扱う約160施設を対象に実施。妊婦健診の受診回数が3回以下か、最終受診から3カ月以上受診していなかった22年中の未受診妊婦148人のケースを調べた。妊婦の年齢は15歳〜44歳で、平均28・6歳、未成年は22人で、40%が初産、69%が未婚だった。
調査の結果、子供の26%は低体重で生まれ、27%は何らかの合併症で新生児集中治療室に入院。死産も4例あった。適切な健診や医療で防げたケースもあり、報告書は未受診を「胎児虐待」と捉えるべきと指摘している。
また、児童虐待を受けて育った妊婦が7人、家庭内暴力の被害者という妊婦が8人いた。妊婦の96%、パートナーの82%は無職か非正規雇用で、生活保護受給率は38%に達した。11人に精神疾患があり、7人が薬物依存症だった。こうした未受診妊婦の家庭・成育環境は、児童虐待が起こる家庭と類似しているという。
妊婦健診は、出産までに14回程度受けることが望ましいとされる。
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