【6月14日 AFP】生殖補助医療(ART)によって生まれた子どもに、そうでない子どもをかなり上回る確率で先天異常がみられるという報告が13日、発表された。
生殖補助医療には体外受精(IVF)や卵細胞質内精子注入法(ICSI)のほか、女性が排卵を促すために受けるホルモン療法などがあるが、こうした方法で先天異常のリスクが高まることがあるという認識をARTを希望する親たちに情報として広めるべきだと、発表した科学者チームは強く勧告している。
今回の研究は同様のものでは過去最大で、フランス国内に登録される33の医療機関で2003?07年の間に、ARTによる全誕生児1万5000人以上を対象に調査した。その結果、4.24%の割合で深刻な先天異常をもつ子どもが見つかり、ARTによらない出産の場合の2?3%を上回った。
研究主任を務めるパリ(Paris)のポート・ロイヤル(Port Royal)産科病院の臨床遺伝学者、ジェラルディン・ビオ(Geraldine Viot)博士によると、通常よりも心臓や泌尿生殖器に深刻な先天異常がみられ、男児の異常発生率のほうが高かったという。
比較的深刻度の低い異常では、皮膚表面あるいは表皮に近い内側にできる良性腫瘍である血管腫の症例が、ARTによらない誕生児の5倍多く確認された。これは男女別では女児に倍の割合で多かった。
先天異常をもって生まれた子どもとそうでない子どもの親の平均年齢に違いはなかったことから、ARTを受けていた親の年齢は因子ではないと推測される。また先天異常がどの程度、親から受け継ぐ遺伝的変異によるものなのか、あるいはART自体にどの程度起因するのかも未知数だ。
過去の研究では、IVFで問題を引き起こす最も一般的な要因は卵子の染色体数の異常であることが知られている。こうしたいわゆる「遺伝子刷り込み」の異常はまた、高い確率で先天異常も引き起こしやすいだろうとビオ氏は指摘する。「不妊が増え、より多くのカップルが妊娠にARTを用いる必要がある中では、 ARTによって誕生した子どもたちにみられる異常を引き起こす原因について、できる限り多くのことを発見することが極めて重要だ」