岡山大地球物質科学研究センター(鳥取県三朝町)の中村栄三教授=地球・宇宙化学=らのグループは27日までに、悪性胸膜中皮腫患者の肺組織に高濃度の放射性物質・ラジウムが蓄積していることを発見した。長年にわたり体内の正常細胞が「内部被ばく」することでDNAが損傷、がん細胞に変異するとみている。
アスベスト(石綿)が原因と言われながら、詳細が分かっていなかった中皮腫発症メカニズムの全容解明につながる成果として注目される。
国立病院機構山口宇部医療センター(山口県)の岡部和倫外科系診療部長との共同研究。論文は28日発行の日本学士院の学術誌最新号で発表される。
中村教授は「中皮腫発症の直接的な原因はアスベスト繊維そのものではなく、アスベストに誘発されてできた重金属を集めるタンパク質である可能性が強い」と指摘。「鉄を体内に供給する継続的な喫煙や粉じんなども発症につながると考えられる」としている。
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