ハンドソープや制汗剤などの有効成分として広く使われている殺菌剤に、筋肉の活動性を低下させる恐れがあることが、米カリフォルニア大デービス校などのマウスや魚を使った実験でわかった。今週の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。
成分はトリクロサン(TCS)という物質。医薬部外品などで承認されている濃度では、安全性が高いとされている。また、化学物質審査規制法では、リスク評価の優先度が低い一般化学物質になっている。
マウスやヒメハヤという魚の仲間にTCSを与えて心臓の活動や運動能力を、与えていない場合と比較。マウスでは心臓が送り出す血液が最大で25%減り、握力が18%下がった。ヒメハヤでも遊泳能力が落ちていた。
TCSが筋肉を収縮させる仕組みの働きを悪くしていることも確かめた。研究チームは「心臓に持病がある人には大きな影響がある可能性がある」としつつ、「病気の進行とTCSの影響を区別するにはさらなる研究が必要」と指摘した。
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