県が日本紅斑熱に注意呼び掛け

 秋の行楽シーズンを迎え、野外にいるマダニが媒介する日本紅斑熱の感染が懸念されている。福山市では今月16日に70代男性の死亡が確認され、中国地方で初の死亡事例となった。県内では2009年に倉敷市内で男女2人の患者が初確認されたのをはじめ、今年6月には備前保健所東備支所管内の60代男性が一時入院したことから、県は注意を呼び掛けている。

 日本紅斑熱は、診断した医師に保健所への報告が義務付けられている法定感染症。「日本紅斑熱リケッチア」と呼ばれる病原体を持つマダニ(体長約3ミリ)に刺されると2〜8日後に発症する。40度近い高熱と頭痛が続き、全身に赤い発疹が出るのが特徴。多くは軽症だが、治療が遅れると死に至ることもある。人から人には感染しない。

 県内患者はこれまでに3人。09年秋には、倉敷市の60代女性が感染。市北部の山野で草取りをした際、マダニに刺されたとみられる。同時期に発症した80代男性は当初、風邪とみられていたが、女性と同じ地域に住んでいたため再検査で判明。一時は重体となり、もう少し診断が遅ければ命にかかわる危険性もあったという。

 マダニは野山や畑、河川敷などに生息しており、春先から晩秋までが活動期。感染を防ぐには、山などに入る際、刺されないよう長袖・長ズボンを着用し、できるだけ肌を露出しないことが重要。県健康推進課は「帰宅後は体を洗い流して着替えてほしい。高熱や発疹が出たら、すぐに医療機関に相談を」と呼び掛けている。