早産や流産の原因ともなる性感染症クラミジアに感染している妊婦は全体の2・4%で、少なくとも年間推計2万4000人に上ることが、熊本悦明・性の健康医学財団名誉会頭などの全国調査でわかった。
こうした妊婦のほとんどは症状がなく、無自覚な感染が一般市民の間で広がっている可能性がある。
調査は、日本産婦人科医会所属の2544施設を対象に、2013年10月〜14年3月に初めて診察を受けた妊婦の感染状況を聞いた。32万6000人分の回答を分析した。
その結果、2・4%にあたる7690人が感染者だった。年代別に見ると、19歳以下は15・3%で6・5人に1人、20〜24歳は7・3%で14人に1人と、若い世代での感染率が高かった。米国の妊婦調査では、19歳以下の感染率が9・6%、20〜24歳が5・2%で、日本の高さが際立つ。地域別では、九州が3・1%、北海道が3・0%、東北が2・9%と多かった。
クラミジアは国内で最も多い性感染症で、妊婦が感染すると早産や流産、低体重児の原因となるほか、産道で新生児に感染して肺炎や結膜炎を発症させる恐れがある。若い女性では、両側の卵管が詰まることにより不妊の原因ともなる。男性の症状は尿道炎が多い。
熊本名誉会頭は、「妊婦の感染例は氷山の一角で、一般市民の間に自覚のないまま感染が広がっている可能性が高い。性の自由化が進む現代、コンドームの使用などの性教育を、若いうちからしっかりと進めるべきだ」と訴えている。