アスピリン副作用に胃薬

心筋梗塞などの予防薬として注目されるアスピリン製剤による小腸の傷害に、胃潰瘍などの薬が有効であることを確認したと、大阪市立大の渡辺俊雄准教授(消化器内科学)らの研究チームが発表した。
研究成果は米電子版科学誌プロスワンに掲載された。
 渡辺准教授によると、アスピリン製剤は解熱・鎮痛効果で知られるが、近年、少量で使うと血液が固まるのを防ぐ作用があることもわかり、心筋梗塞や脳梗塞の予防薬として国内で400万人以上が常用している。ただ、常用者の半数以上で小腸に潰瘍などが出来たとの報告がある。潰瘍を治療するには、アスピリン製剤の服用を中止するしかなかった。
チームは、胃潰瘍や胃炎の治療薬であるレバミピドの粘膜保護効果に着目。アスピリン製剤を常用し、小腸の粘膜に3か所以上の潰瘍などがある患者25人にレバミピドを8週間(1日3回)投与したところ、17人で潰瘍などが減り、うち8人は完全に消えた。レバミピドの投与量は通常の3倍にしていたが、副作用はなかったという。
渡辺准教授は「臨床現場で早期に使えるよう研究を続けたい」と話している。

アスピリンとヘパリン

セント・メアリー(英ロンドン)のインペリアル・カレッジの研究によると、「アスピリン」や「ヘパリン」には抗リン脂質抗体症候群など自己免疫疾患による流産を防ぎ、出生率を高める効果があるという。

繰り返し流産を経験している女性90人(23歳から43歳まで、平均年齢33歳)を2グループに分け、日々、12時間ごとに低量のアスピリン服用、あるいは低量のアスピリン服用とヘパリンを皮下注射にて投与した。

出生率は、アスピリン服用では42%(45人中19人妊娠)、一方、アスピリン服用・ヘパリン投与では71%(45人中32人妊娠)であった。なお、流産の90%が妊娠初期にて起こった。

繰り返し起こる流産の要因として、抗リン脂質抗体症候群など自己免疫疾患のほかに血栓症や栓友病なども挙げられる。

血栓症や栓友病では胎盤を含め体内の血管が細くなり、血餅(血液の凝固)を生じさせるため、母体から胎児へ栄養供給が妨げられ、胎児の成長に影響が出る。

研究によりアスピリンには流産を防ぐ効果があると判明した反面、血管を細くし、血餅を引き起こす作用があるため、服用量には注意が必要である。

多量のアスピリン(頭痛時などの通常服用量)は妊娠合併症を引き起こす可能性があるが、研究者らは低量のアスピリンやベビーアスピリンには流産を防ぐ効果があると述べている。

最新の報告では、妊娠初期のアスピリン服用は初期流産を引き起こす可能性が高いと警告している。

グンナー・ニールセン(Gunnar Nielsen)医師が率いる研究チームによると、妊娠判明前まで1か月間、アスピリンを服用する実験を行ったところ、妊娠12週までの流産のリスクが高まった。また、流産に至った時期より7〜9週間前の服用が影響を与えたと推測されている。