東洋医学の思想について

東洋医学の思想 について

針灸,湯液(薬方)はともに中国から、わが国に移入された医学であり西洋医学
と異なった思想,疾病観,治療法を有している.
東洋医学思想の起源は,黄帝内経(素間,霊枢)に発するといわれ,その述ぺるところは天地
人合一説,陰陽説,五行説,経絡説,気血説などを根幹としている.東洋医学において,これら
特有の考え方を十分に理解しなげればならない.

以上の理論が取り入れられて,ここに湯液の運用を主体とする傷寒論,ならびに金匱要略の系
統と針灸の運用を主体とする内経,ならびに難経の系統とが組み立てられたのである.湯液と針
灸は互いに陰陽,虚実の理論を基礎としながら,その運用法が異なると同様に考え方の内容も違
っている. まず傷寒論における陰陽は,病位を示す名称であって,これをさらに表裏,内外に分げ,虚実
は病状を示している.内経における陰陽は経絡臓腑に冠し,五行間の関係を有し,虚実において
は経絡(臓脈)の邪気に対する虚実(弱盛)に用いられる.「虚は経絡(臓腑)に流れる経気の虚
損をあらわし,実はその経気の充実しすぎる場合をいい,これらによって病を生ずるを云う」
また陰陽虚実は病証においても用いられる.それゆえ傷寒論系統にあっては,病気の陰陽虚実
に従ってすでに組み立てられてある証に対する処方をそのままに運用すれば一応事足りるのであ
るが,内経系統においては経絡の陰陽と気血の虚実に準して針灸の手技を用いるのであるから,
虚実に対して補瀉の理論が重要性をもつことになる.
すなわち疾病は固定したものではなく絶えず変化してやまないため,その変化の過程において
鍼灸ならびに湯液的に“証”を把握し,治方を考察して診療を施すことを根本方法としている

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