時事通信社の記事によると、
細胞の中でエネルギーを作り出す「ミトコンドリア」を卵巣の一部から抽出し、卵子に注入することで妊娠率を高める新しい不妊治療技術について、日本産科婦人科学会は12日、臨床研究として実施することを承認した。海外では200例以上の実施例があるが、国内では初めてという。
学会によると、腹腔鏡手術で採取した卵巣組織の一部からミトコンドリアを抽出し、発育不良の卵子に精子とともに注入する。米企業が開発した技術で、卵子の活性化が期待できるとされ、海外での出産は20例を超えるという。国内の医療機関が5月、学会に実施を申請していた。
学会は「未知の問題が存在する可能性は否定できず、効果も十分検証されていない」とする一方、両親以外のDNAを引き継ぐ恐れがないことなどから「法令などに抵触する可能性は低い」と判断。この医療機関に限って実施を認め、結果の報告を求めることにした。医療機関名は明かさなかった。
一方、体外受精させた受精卵を子宮に戻す前に、染色体異常を幅広く調べる「着床前スクリーニング」について、100組の夫婦を対象に臨床研究を行うことも承認した。対象は体外受精を3回以上実施して妊娠しなかった夫婦と、流産を2回以上経験した夫婦の各50組。通常の体外受精と比較し、流産の割合が下がるかどうかを確かめる。
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