食べ物が遺伝子の発現に直接作用する

摂取した食物由来の遺伝物質が、遺伝子の発現に直接作用することが明らかになったそうだ(nature.comに掲載された論文DISCOVER blogsの記事)。

中国の南京大学の研究チームが、ヒトの血液に含まれるmicroRNA(miRNA)を調べていたところ、その一部が植物由来であることに気付いたという。最も多くみられたのはコメのmiRNAであり、被験者が食事から摂取したものであることが分析の結果確認されたとのこと。

miRNAは遺伝子の発現を制御する機能を持っているとされており、コメのmiRNA「MIR168a」を細胞内に入れるとLDL受容体レベルが低下したそうだ。これはLDL受容体のアダプタータンパク質「LDLRAP1」のmRNAとMIR168aが結びつき、LDLRAP1の発現が抑制されたことによるもので、結果としてLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が上昇する。コメを与えたマウスによる実験でも同様の現象が再現されたが、MIR168aの働きを抑える分子を注射したところ、受容体レベルは元に戻り、LDLコレステロール値が低下したとのこと。これらの結果から研究チームは、食品に含まれるmiRNAが新たな必須栄養素となる可能性もあると結論付けている。

男女産み分け目指しタイへ 日本人急増

 子どもを望む日本人夫婦がタイに渡り、受精卵の染色体を調べて、男女産み分けをするケースが増えている。朝日新聞の取材で、この1年間で少なくとも30組の夫婦が利用していたことが分かった。受精卵の診断は「命の選別につながる」として、日本では重い遺伝病などに限られており、倫理的な課題が多い。

 受精卵診断はもともと遺伝病の有無を調べるために行う。体外受精卵が4?8個の細胞に分裂した段階で、1?2個の細胞を取って、遺伝子や染色体の異常がないか調べて、子宮に戻す。遺伝病だけでなく、性別も判定できるため、男女の産み分けにも使える。

 タイでは近年、医療技術が向上し、海外の患者にも人気の医療先進国になりつつある。受精卵診断も約15の医療機関が実施している。朝日新聞が、日本人が多く行く2施設に取材したところ、2?3年前から日本人が増え、この1年で計約30組が男女産み分けで受精卵診断を受けたと回答した。診断には体外受精が必要なため、不妊でない夫婦でも体外受精をしている。不妊夫婦が卵子提供を受け、男女の産み分けをする例もあるという。

不妊の原因解明に新知見

卵子の膜にある糖の分子SLeXが卵子と精子をくっつきやすくし受精に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
受精の最初の段階では,精子の先端にあるタンパク質が卵子の外膜にある特定の糖と適合する必要があるという。
新たな研究で卵子の外膜に他の糖よりもSLeXが豊富に存在することが確認され未受精で非生存のヒト卵子の外膜を使った実験でSLeXの結合を抑制する化学物質で外膜を処理した場合精子との結合が妨げられることが示された。
不妊の原因解明すればいいですね。