「不育症」治療で8割出産できた

 妊娠した女性の4割が流産の経験があり、流産を繰り返す不育症も16人に1人の割合でいることが、厚生労働省研究班による初の実態調査でわかった。不育症の女性の4割は強い心のストレスを抱えていた。一方、専門外来で検査、治療した人のうち8割以上が無事、出産できていた。研究班は夫婦だけで悩まずに専門医を受診するよう呼びかけている。

 研究班には、富山大、名古屋市大、慶応大などが参加。発生頻度は、名古屋市大の杉浦真弓教授らが調べた。愛知県内で健康診断を受けた一般女性(35〜70歳)503人から回答を得た。このうち、妊娠経験のある458人中、流産した経験がある人は190人(41%)いた。2回以上流産し不育症とみられるのは28人(6%)、3回以上の習慣流産も7人(2%)いた。

 原因は様々で、夫婦の両者か一方に染色体異常がある場合のほか、子宮の形の異常、免疫異常で胎盤などに血栓ができやすい抗リン脂質抗体症候群などが考えられた。

 専門外来を受診した1676組の不育症の夫婦を分析すると、9割で夫婦に染色体異常がないほか、女性の子宮の形にも異常がなく、ほかの原因が考えられた。杉浦教授によると、夫婦に明らかな異常がない場合の多くが、胎児の染色体異常が疑われるという。

 子宮の形に異常がある人は3.2%いたが、うち重症の42人中25人が手術後に出産できた。別の分担研究では、抗リン脂質抗体症候群の場合は血を固まりにくくするアスピリンなどが効果的だった。

 不育症の夫婦全体の8割以上が後に無事、出産に結びついていた。

 しかし、不育症で悩むカップルは多かった。慶応大の丸山哲夫講師は専門外来を受診した150組の心への影響を調べた。77組の夫婦のうち、女性の33人(43%)、男性の11人(14%)に抑うつ傾向が見られた。その原因として、長期の医療機関受診や、高額な治療費などを挙げた。

 研究代表者の斎藤滋・富山大教授(産科婦人科学)は「流産を繰り返すと二度と妊娠したくないと考える人も多い。しかし、最近は、不育症の原因を突き止める方法や治療法もかなり進歩して、多くの人が出産に結びついている。夫婦だけで悩むのではなく、専門医を受診して欲しい」と話す。

新生児の泣き声にも訛りがあるそうだ

 新生児は子宮の中で言語を覚え始め、生まれたときには既にその言語特有のアクセント、いわば“訛り”のようなものを身に付けているという研究が発表された。

 胎児は耳で聞くことで言語に慣れていくという見解は特に目新しいものではない。誕生直後の新生児が複数の異なる言語を耳にすると、ほとんどの場合、母親の胎内で聞こえていた言語に最も近い言語を好むような態度を示すことが複数の研究で既にわかっている。

 ただし、言語を認識する能力と発話する能力とはまったく別のものである。

 ドイツ、ビュルツブルク大学発話前発育・発育障害研究センターのカトリーン・ヴェルムケ氏が率いる研究チームは、フランス人とドイツ人各30人、計60人の健康な新生児の泣き声の“メロディ”を調査した。

 ただしヴェルムケ氏によると、このメロディ、つまりイントネーションは、厳密に言えばアクセントとは異なるという。アクセントとは、単語の発音の仕方に関連するものだ。

 一般的に、フランス語を母国語とする人は語尾を上げ、ドイツ語を母国語とする人は逆に語尾を下げるということが知られている。また、メロディ(話し言葉のイントネーション)が言語の習得において決定的に重要な役割を果たすということもわかっている。「ここから、新生児の泣き声の中から何らかの特徴があるメロディを探すというアイデアを思いついた」とヴェルムケ氏は明かす。

 今回の研究に参加した新生児の泣き声のメロディは、胎内で聞いていた言語と同じイントネーションをたどっていた。例えば、フランス人の新生児は泣き声の最後の音が高くなった。「胎児や乳幼児がメロディを感じ取り再現することから、人間の言語習得の長いプロセスが始まることは明らかだ」とヴェルムケ氏は語る。

 また今回の発見で、言語の発達プロセス以上のことが明らかになる可能性もある。「乳幼児の泣き声などの発声をさらに分析すれば、人間の祖先がどのようにして言語を生み出したのかという謎の解明にも役立つかもしれない」。

 この研究結果は2009年11月5日発行の「Current Biology」誌に掲載されている。

肥満が「がん」誘発

肥満で誘発された「がん」を発症する患者が年間10万人を超えているとの研究報告を、米国がん研究財団(AICR)の研究者が5日、発表した。肥満とがん患者の数を具体的に調査した研究は初めて。

研究者は肥満と関係が深い7種類のがんを調べ、肥満によって引き起こされたと考えられる実際の症例数を計算した。

その結果、子宮内膜がんの49%が、脂肪過多によって引き起こされていた。このほか食道がんの35%、脾臓(ひぞう)がんの28%、腎臓がんの24%、胆のうがんの21%、乳がんの17%、大腸がんの9%が、それぞれ肥満が原因だと見られるという。

過多の脂肪がなぜ、がんリスクを高めるかという理由は、科学的には解明されていない。しかし、脂肪組織が作る女性ホルモン「エストロゲン」量の増加や、脂肪が増加することにより活性酸素で酸化性ストレスが生じることが原因ではないかとされている。

米国がん協会(ACS)も、今回の調査報告を評価。肥満とがんの関連研究については、まだ最初の一歩を踏み出したばかりだが、人々が自分の体を気遣った食生活を送ることが必要だと述べている。