14年の合計特殊出生率1.42

日本経済新聞によると

 厚生労働省が5日発表した2014年の人口動態統計によると、1人の女性が生涯に何人の子どもを産むのかを推計した合計特殊出生率は1.42となり、9年ぶりに低下した。05年の1.26を底に緩やかに上昇していたが、前年を0.01ポイント下回った。女性が第1子を産む平均年齢は30.6歳となり、晩婚・晩産が一段と進んだ。出生数は100万人割れ目前で、人口減少と少子化への対策が急務であることが改めて浮き彫りになった。

 出生率は05年を底に上昇傾向をたどり、13年まで2年連続で上昇していた。第2次ベビーブームの1971〜74年に生まれた「団塊ジュニア」と呼ばれる世代が30歳代後半から40歳代にさしかかって出産に積極的になったためだ。

 14年は「団塊ジュニア」世代の出産が減少。前年の約7万人から5万人未満に減ったもようだ。さらに20歳代が一段と子どもを産まなくなった。出生率を年代別にみると、20〜24歳、25〜29歳はいずれも4年連続で低下した。30歳代前半は9年連続で上昇しているものの、20歳代の低下を補うことができず、全体では前年を下回った。

 出生率の低下は結婚・出産の年齢が上がっていることとも関係している。平均初婚年齢は14年には男性が31.1歳、女性が29.4歳まで上昇した。女性が第1子を産む平均年齢は1995年に27.5歳だったが、30.6歳となり、過去最高だった前年(30.4歳)よりさらに上がった。

 第1子の出産年齢が上がると、第2子以降の出産も減る傾向にある。14年の第2子の出生率は5年ぶりに低下した。晩婚化や晩産化が一段と進んだことが出生率を押し下げた可能性が高い。

 出生率が14年まで3年連続で1.4を超えたのは780万人いる「団塊ジュニア」の出産が押し上げた面が大きい。この世代の出産がピークを越え、今後はゆるやかな低下傾向をたどる可能性がある。国立社会保障・人口問題研究所は「出生率は長期的に1.35で推移する」と予測している。

 14年の出生数は100万3532人で2.6%減った。統計の残る1899年以降でみると4年連続で過去最少を更新した。出産の中心となる15〜49歳の女性の人口は2566万7165人で1.0%減った。このペースでいけば、15年は出生数が100万人を割り込む公算が大きい。

 出生数から死亡数を引いた人口の自然減は26万9488人で、過去最大の減少幅だった。人口減少が続くと労働力が目減りし、持続的な経済成長が難しくなる。医療や年金などを支える現役世代の負担が増し、結婚や出産をためらう「負の循環」に陥る恐れがある。

 政府は3月に閣議決定した少子化大綱で今後5年間を少子化対策の集中期間とした。官民による少子化対策や人口減への取り組みが急務だ。

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