不妊とは関係ないが日経に面白い記事が載っていたので自戒をこめて残しとこう。(笑)
フォーブスの記事でErika Andersenが書きました。
私はもう何年も前から、有能な社員になる人材の潜在能力を判断するうえで学歴はあてにはならないと主張し続けてきた。だが誤解しないでほしい。私は学歴の取得が無意味だなどと考えているわけではない。ただ、正規の教育に対する社会の評価や通念がえてして正確ではないと考えているにすぎない。年齢も、経歴や職歴も、所属する社会集団も似通った2人の人間がいて、そのうち一方が大卒でもう一方がそうではない場合、世間では大卒者のほうが有能な社員になり、出世すると考えられている。
こうした通念に疑問をもっていた私は、数カ月前、ニューヨーク・タイムズに掲載されたトーマス・L・フリードマンの「どうすればグーグルに就職できるか」という記事をとても興味深く読んだ。フリードマンの記事は、ニューヨーク・タイムズのアダム・ブライアントが米グーグルで人材活用を担当する上席副社長ラズロ・ボックに対して行ったインタビュー記事を拡大したもので、この記事のなかでボックは、社員の採用にあたってグーグルが重視する人材の資質についてくわしく話している。
大学の成績は参考にならない
ボックは、「GPA(学業平均値)は採用基準としては無価値だし、テストの点数は意味がない…その人材の潜在能力を知るうえで何の参考にもならないことが分かった」とまで言い切っている。
私の言いたいこともまさにこの通りだ。大学を優秀な成績で卒業しても、実社会で成功するこつが身につくわけではないし、大学の成績が悪いからといって実社会で成功できないとは限らない。さらにボックは、近年、グーグルに採用される社員のうち、大卒の資格を持たない人間が増えていると語り、採用候補の能力を評価する際、グーグルが用いている5つの採用基準を紹介している。私は、5つの採用基準だけではなく、その優先順位にも驚かされた。以下にボックの発言を私なりに理解したものを掲げ、求職中の人間にとってなぜこの基準が重要かを述べてみよう。
専門知識
ボックは、技術分野の人間がコーディング能力(プログラミング言語によってソースコードをつくる能力)を身につけていることはもちろん確かめるが、それ以外の分野では、専門知識は5つの基準のうち、一番重要ではないと指摘した。
グーグルでは、会社が必要とする潜在能力を社員が備えているかどうかを見抜くうえで、以下に紹介する4つの資質のほうが専門知識よりはるかに重要だと考えられている。
ボックの指摘によると、専門家はすでに正しいと証明されている仕事の進め方に固執しがちだという。私も出会ったことがあるが、特定の分野の「専門家」や「熟練者」を自認する人びとは、自分の考え方に疑念を呈されると、そうした指摘に興味を示すのではなく、むきになって自説を擁護しようとする傾向がはるかに強い。こうした専門家は、自らを権威づけすることでアイデンティティーを守ることにきゅうきゅうとし、より優れた解決方法に目を向けようとしないものだ。
自発性
グーグルが必要としているのは、責任をもって問題を解決し、会社を前進させることができる、現状打破に情熱を燃やせる人材である。私は、自分の会社においても、すべての取引先においても、こうした人材の存在を重視している。ほとんどどの産業分野でも、どの知識領域でも、日進月歩が当たり前の今、命じられた作業を言われたとおりにこなす社員や、「指示待ち」社員を抱えることは、企業にとって大きなマイナスになる。必要とされているのは、自発的に、現状を打破してよりよい仕組みを構築する気概のある人間なのだ。
謙虚さ
その一方でボックは、責任をもって仕事に取り組もうとする熱意には、謙虚さが伴っていなければならないとも指摘する。それは、自分よりもすぐれたアイデアの持ち主の主張に耳を傾けたり、よりよい仕事のこつを学ぼうとしたりする率直さである。この点についてボックは「強大なエゴと謙虚なエゴとを同時に持つこと」と表現している。
どんなチームにおいても、これらの2つの資質を持つならば、個人としての能力を遺憾なく発揮すると同時にチームの一員として貢献できる。そういう人物はえてして、仕事をよりよくすることに情熱を注ぐ一方で、他者が現状打破のための今以上のヒントを提供してくれると信じ、彼らの言い分に進んで耳を貸すことのできる人間である。
リーダーシップ
ボックや彼の同僚たちが社内の組織あらゆるレベルでリーダーシップを重視していることに、私は感心した。しかもそのリーダーシップの尺度は、「あなたはそのチェス・クラブの会長だったのですか? 営業部門の副社長だったのですか? どれだけ短期間でその地位に就くことができましたか?」といったボックのいう従来型の質問で測れるものではない。ボックたちが求めているのは、自ら名乗り出てガイド役を務め、担当する仕事や役職名などにこだわることなく、人びとを導いて必要とされる結果を出すことのできる人材なのである(しかもそうした人材は、いざとなれば他人に役目を譲り、自らの身を引く謙虚さを心得ていなければならない)。
学ぶ力
この点で私は、自分とラズロ・ボックが同じ考え方をする人間だと納得した。純粋に学ぶ能力、新機軸を身につける能力、臨機応変に学ぶ能力、一見共通点のない情報のなかに一定のパターンを見つけ、次のステップに踏み出せる能力──これこそ、グーグルの採用担当マネージャーがたどり着いた、候補となる人材に求める最も重要な資質だとボックは指摘している。まったく同感である。
現代において人は、新しいものごとをいかにすばやく的確に学べるかに応じて、社会的成功を果たせると私は信じている。しかもこの真理は、グーグルやリンクトイン、アマゾンなど、日々生みだされる新機軸や新手法を次々と取り入れることを自負する企業にだけ当てはまるものではない。どの企業にとっても必要なのは、好奇心旺盛で、ミスを犯すことを恐れず、最先端の分野へ打って出て、的外れな質問をし、新しい能力や問題解決能力を身につけることのできる社員だ。企業が繁栄し、未来に向けて成長するには、この方法しかないのである。
『企業生命力』の著作があるオランダのアリー・デ・グースは、すでに1990年代の半ばに「競争相手よりもすばやく学べる能力こそ、唯一の持続可能な競争上の優位を維持する力であるといってよい」という先見性に富んだ賢者の言葉を残している。
この言葉が真実であるなら、学びの達人となるためにあなたは今何を実践しているだろうか?