卵子老化、メカニズム特定

 年齢が上がると女性が妊娠しにくくなる「卵子の老化」の原因を、米ニューヨーク医科大が突き止めたと発表した。卵子のもとになる「卵母細胞」のDNAが傷ついた際、その修復能力が衰えていた。不妊治療に役立つ成果として注目される。13日付の米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに掲載される。

 チームは、生後11〜12カ月のマウスと、生後4〜5週の若いマウスの卵母細胞の遺伝子を比較。高齢のマウスほど、傷ついたDNAを修復する4遺伝子の働きが低下していることを発見した。また、4遺伝子のうち、乳がんの発症を抑える「BRCA1」を人工的に失わせたマウスは、通常より半分しか卵母細胞を作れなかった。
 さらに、この遺伝子に異常がある24人(平均34.8歳)の血液検査から、卵巣中の卵母細胞の数を推計すると、異常のない60人(同36.3歳)に比べて数が半分程度に減っていたという。
 チームは「発見を生かして卵母細胞のDNAを修復できれば、卵巣の老化速度を遅らせることもできるかもしれない」としている。
 吉村泰典(やすのり)・慶応大教授の話 卵子の老化の仕組みは謎だっただけに、意義は大きい。ただし、がんに関連する遺伝子を利用することは安全面で難しく、今回の成果がすぐに治療につながるとは言えない。

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