第三者から卵子の提供を受ける不妊治療で妊娠した場合、妊娠高血圧症候群になる割合が、通常の体外受精に比べ約6倍になるなど、妊娠や出産の危険性が高まるとの調査結果を愛育病院(東京)のチームが26日までにまとめた。国内の研究で、卵子提供による妊娠の危険性が明らかになったのは初めてという。
調査対象の妊産婦はすべて海外で卵子提供を受け、帰国後に同病院を受診した。調査をした中山摂子産婦人科医長は「医者や患者に危険性を広く認識してもらう必要がある。統一した指針も作成すべきだ」としている。
中山医長らは2000〜10年に海外で卵子提供を受けて妊娠、同病院で出産した33〜50歳の17人と、自分の卵子で体外受精した24〜47歳の647人とを比較した。
妊娠高血圧症候群になる割合は、自分の卵子では7%だったのに比べて提供卵子では41%と約6倍になったほか、癒着胎盤や前置胎盤など胎盤異常の発生割合が提供卵子では7〜9倍に増加。帝王切開手術で輸血が必要になる割合は10倍に達した。後遺症があった例はなかった。
詳しいメカニズムは不明だが、卵子提供を受けた場合、妊娠するために体内に入れる受精卵は完全に他人由来の細胞になる。このため免疫がより強く働くことが原因と考えられるという。
妊娠高血圧症候群は妊産婦の脳卒中やけいれん発作などの原因となる。胎盤異常では出産時に大量の出血を伴うことがあり、いずれも死に至る恐れがある。赤ちゃんの発育不良も起きやすい。
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