世界初の体外受精児の母、英女性が死去

世界で初めて体外受精児を出産した英国人女性レズリー・ブラウンさんが6月6日に英南西部ブリストルの病院で死去した。

 64歳だった。遺族が20日明らかにした。

 ブラウンさんは1978年7月、ロバート・エドワーズ英ケンブリッジ大名誉教授(86)とパトリック・ステプトー医学博士(故人)の不妊治療を受け、世界初の体外受精児となった長女ルイーズさんを出産。4年後には同じ方法で次女ナタリーさんを産んだ。エドワーズ氏は2010年に「体外受精技術の開発」でノーベル生理学・医学賞を受賞した。

 ブラウンさんは、08年にルイーズさんが30歳の誕生日を迎えた際、子供や孫に囲まれて、「体外受精がなければ、母親にも、祖母にもなれなかったでしょう」と語って感謝を表していた。

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勇気有る母にご冥福をお祈りします。

EPAやDHAは心血管疾患の再発予防にならない

心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の患者に、魚油に多く含まれる脂肪酸であるEPAやDHAをサプリメントとして投与しても、心血管疾患の再発予防にならないという臨床試験の総合評価が、内科学アーカイブスに5月公表された。

著者らは医学文献のデータベースを検索して、心血管疾患の患者にEPAやDHAのサプリメントを投与した臨床試験14件を選び出した。研究はインドの1件を除いて欧米で行われていた。

対象者の合計は20,485人で、10,226人にはEPAやDHAのサプリメントが投与され、10,259人にはサプリメントと見かけは同じだが、EPAやDHAの含まれないプラセボ(偽薬)が投与された。

14件の結果を集計すると、プラセボ投与群と比べて、サプリメント投与群の心血管疾患の発症率は0.99倍で誤差範囲の結果だった。また、全死因死亡、心筋梗塞、心臓突然死、うっ血性心不全、脳梗塞などの減少も見られなかった。

著者らは今回の総合評価に、「EPAやDHAの投与で心筋梗塞などが減少した」とするイタリア(11,324人)と日本(18,645人)の大規模な臨床試験を加えなかった。

その理由として、この2件の研究ではいずれもプラセボを使っておらず、またプラセボを飲んでいない(EPAやDHAも飲んでいない)対象者に医師が積極的に検査を行って心疾患などを診断してしまっていることなどから、EPAやDHAの効果を過大評価している可能性があったことを挙げている。

当初の14件の研究にこの2件を加えて総合評価をやり直しても、比較群に対するサプリメント投与群の心血管疾患の発症率は0.95倍となり、誤差範囲の低下に留まった。

研究に対する論評によると、心血管疾患の患者ではなく、健康な集団の追跡調査では、魚類を多く食べると心血管疾患による死亡リスクが低下することが一致して示されている。

そのため、EPAやDHAのサプリメントの効用についてはまだ結論が出ていないが、健康な集団でも、心血管疾患の患者でも、魚類を多く食べることが勧められるとしている。

論文の著者によると、EPAやDHAは、炎症、不整脈、動脈硬化を防ぐことを示した動物実験などの報告があるという。

2010年報告までの最新の論文を含めて、臨床試験の総合評価を行った点に、今回の研究の意義がある。ただし研究の大半は魚類摂取の少ない欧米からの報告のため、魚類摂取の多い日本で、プラセボを使った臨床試験が今後必要だろう。

11年出生率、横ばい1.39

2011年の合計特殊出生率は、前年と同じ1.39だったことがわかった。厚生労働省が近く、人口動態統計の中で公表する。05年を底に上昇傾向が続いていたが、ここに来て回復の歩みが鈍くなっている。若者向けの子育て支援や働く場の環境改善などの政策論議にも影響を与えそうだ。

 出生率は戦後、晩婚・晩産化の影響で下がる傾向が続き、05年には過去最低の1.26まで落ち込んだ。その後は上昇に転じ、08年に1.37まで急回復した。女性が30代後半になって出産を急ぐ傾向などが、後押ししたとみられている。ただ、その後は回復ペースが失速気味で、09年は前年比で横ばいに。10年はわずかに上昇したものの、11年は再び横ばいとなった。

 この数年の傾向を反映し、国立社会保障・人口問題研究所は今年1月、50年先までの出生率の見通しを上方修正している。ただ、今後も生涯未婚の女性の割合が増えたり、夫婦がもうける子どもの数が減ったりするなど、少子化の傾向が続くとみており、出生率も低下基調を見込む。同研究所の推計では、20年代前半には1.33程度になり、その後は1.35前後で推移する見通しだ。

また、第1子出産時の母親の平均年齢は30・1歳と、初めて30歳を超えた。1975年は25・7歳だったが、30年後の05年には29・1歳に上昇。10年は29・9歳だった。

 また、平均初婚年齢も男性が30・7歳、女性が29・0歳で、ともに前年を0・2歳上回り、過去最高を記録した。

 11年に生まれた子どもの人数である出生数は、前年比2万606人減の105万698人で、統計を始めた1947年以降で最も少なかった。出生数を大きく左右する34歳以下の母親の出産が減少傾向にあるためだ。ただ、35歳以上の出産は増加傾向にある。