【ニューヨーク時事】カナダの衛生当局は22日までに、英医薬品大手グラクソ・スミスクラインが製造した新型インフルエンザのワクチン17万回分の使用を中止することを決めた。CTVなどカナダの複数のメディアが伝えた。接種後に通常よりも高い比率で重いアレルギー反応が発生したためで、グラクソ側が、原因を調査するため暫定的に使用を控えるよう当局に要請した。
報道によると、カナダ中部のマニトバ州で、グラクソ製の一定量のワクチンについて、通常1〜2例にとどまる重い副作用が6例発生した。同州の衛生当局は、副作用の具体的な症状を明らかにしていないが、症状はいずれも短時間で治まり、すべての患者が既に回復したという。
月: 2009年11月
消化器がん少量の血液で9割検出
少量の血液から遺伝子群の変化を調べ、従来より極めて高い確率で消化器がんを診断できる方法を、金沢大の金子周一教授(消化器内科)らのグループが開発、19日に発表した。血液を用いた従来の方法ではがんを検出する確率は20%程度だが、9割にまで上げることができ、人間ドックや健康診断に導入すれば早期発見につながる。同大学は既に特許を出願しており、来年には検診に応用したいとしている。
金子教授らは、胃、大腸、膵臓(すいぞう)の消化器がんの患者約50人の血液を解析。一定の遺伝子群に、働きが活発になるなど変化が見られることを突き止めた。この遺伝子群に着目し、別の消化器がん患者53人の血液を検査したところ、9割にあたる48人の遺伝子群が同様のパターンを示していた。検診で応用する際には、約800種類の遺伝子群に的を絞り、血液のRNA(リボ核酸)に蛍光試薬を加えて反応のパターンを調べる。必要な血液は2・5CCで済み、結果は3、4日で出せる。
血液を用いたがん検査は従来、がんの発生で出現する物質(腫瘍(しゅよう)マーカー)を調べる方法があるが、金子教授によると、検出の確率は20%程度という。金子教授は「通常の血液検査と同じ方法で、がんが検出できる。がんの早期発見に大きく貢献できる」としている。
遺伝子解析に詳しい「DNAチップ研究所」社長、松原謙一・大阪大名誉教授の話 がんで変化する血液中のRNAのバランスを突き止めた例は初めてだろう。臨床研究を進め、さらに検査能力の高さを実証できれば、簡便ながん検査を広める足がかりになる。
「不育症」治療で8割出産できた
妊娠した女性の4割が流産の経験があり、流産を繰り返す不育症も16人に1人の割合でいることが、厚生労働省研究班による初の実態調査でわかった。不育症の女性の4割は強い心のストレスを抱えていた。一方、専門外来で検査、治療した人のうち8割以上が無事、出産できていた。研究班は夫婦だけで悩まずに専門医を受診するよう呼びかけている。
研究班には、富山大、名古屋市大、慶応大などが参加。発生頻度は、名古屋市大の杉浦真弓教授らが調べた。愛知県内で健康診断を受けた一般女性(35〜70歳)503人から回答を得た。このうち、妊娠経験のある458人中、流産した経験がある人は190人(41%)いた。2回以上流産し不育症とみられるのは28人(6%)、3回以上の習慣流産も7人(2%)いた。
原因は様々で、夫婦の両者か一方に染色体異常がある場合のほか、子宮の形の異常、免疫異常で胎盤などに血栓ができやすい抗リン脂質抗体症候群などが考えられた。
専門外来を受診した1676組の不育症の夫婦を分析すると、9割で夫婦に染色体異常がないほか、女性の子宮の形にも異常がなく、ほかの原因が考えられた。杉浦教授によると、夫婦に明らかな異常がない場合の多くが、胎児の染色体異常が疑われるという。
子宮の形に異常がある人は3.2%いたが、うち重症の42人中25人が手術後に出産できた。別の分担研究では、抗リン脂質抗体症候群の場合は血を固まりにくくするアスピリンなどが効果的だった。
不育症の夫婦全体の8割以上が後に無事、出産に結びついていた。
しかし、不育症で悩むカップルは多かった。慶応大の丸山哲夫講師は専門外来を受診した150組の心への影響を調べた。77組の夫婦のうち、女性の33人(43%)、男性の11人(14%)に抑うつ傾向が見られた。その原因として、長期の医療機関受診や、高額な治療費などを挙げた。
研究代表者の斎藤滋・富山大教授(産科婦人科学)は「流産を繰り返すと二度と妊娠したくないと考える人も多い。しかし、最近は、不育症の原因を突き止める方法や治療法もかなり進歩して、多くの人が出産に結びついている。夫婦だけで悩むのではなく、専門医を受診して欲しい」と話す。