セラピーの犬活躍紹介

飼い主に捨てられ、殺処分寸前だった雑種犬チロリを、患者や高齢者とふれあいながら、症状の緩和、回復を助けるセラピードッグの国内第1号に育てた音楽家大木トオルさん(国際セラピードッグ協会代表)の講演会(NPOえひめセラピードッグの会主催、読売新聞松山支局など後援)が6月5日午後1時、松山市道後町のひめぎんホールで開かれる。東日本大震災の被災地への訪問の合間を縫っての講演で、活躍中の犬たちも登場し、訓練を披露する。

 大木さんは東京出身で、1976年に渡米。ブルースシンガーとして活動を続けながら、約60年の歴史がある動物介在療法(AAT)の成果を知り、日本での普及を進めている。チロリを始め、動物愛護センターで殺処分が予定されている犬たちを引き取り、セラピードッグに育成。指示役のハンドラーも養成している。

 講演は「人と犬の命の絆?名犬チロリ物語?」と題し、セラピードッグの歴史や、乳がんを患い2006年3月に死んだチロリとの出会いと別れを語るほか、殺処分に使われるガス室の写真などを見せ、AATの成果なども報告。赤十字のチョッキを着た犬たちも登場し、車いすを誘導する様子などを披露する。

 現在、協会が登録しているセラピードッグは31頭、育成中を含めると約100頭がいる。大木さんは「活動を通じて、全国的に殺処分は減少しているが、愛媛でも殺処分は行われている。今後も、ガス室からの救助とセラピードッグへの育成を目指したい」と話している。

 NPOえひめセラピードッグの会の村上恵子代表は「講演会を、セラピードッグへの理解を広げる場、子どもたちに命の尊さを学ぶ機会に」と呼びかけている。午後0時半開場、入場は無料だが整理券が必要。問い合わせは、松山市光洋台のドッグカフェ「は・る・ぶ」(089・994・3398)の村上代表へ。

人間の皮膚から神経細胞

人間の皮膚細胞から、様々な細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)を経ずに、神経細胞に直接変化させることに、米スタンフォード大の研究チームが成功した。

 皮膚などの細胞から目的の細胞を直接つくる「ダイレクト・リプログラミング」と呼ばれる技術だが、人間の神経細胞ができたのは初めて。

 iPS細胞で懸念されるがん化の危険性を減らせる可能性があり、再生医療や創薬への応用も期待される。27日の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 チームは昨年、マウスの皮膚の細胞に3種類の遺伝子を加えることで、神経細胞に変えることに成功していた。

 次の段階として、難しかった人間の細胞のダイレクト・リプログラミングを実現させるため、神経細胞への変化を促す働きがある20遺伝子に着目。従来の3遺伝子に「NeuroD1」を加えた4遺伝子を、人間の皮膚細胞に導入したところ、2週間後から神経細胞と同じような形に変化した。5週間後には神経細胞に特有な遺伝子が働いていることを確認した。

 ダイレクト・リプログラミングは主にマウスで研究が進んでいるが、人間の細胞でも血液の元になる細胞を作ることに別のチームが成功している。

台湾の飲料から禁止添加物 生殖機能に影響

 食品への添加が禁じられている可塑剤(かそざい)「フタル酸ジエチルヘキシル」が、台湾で売られている飲料などから見つかった。内分泌攪乱(かくらん)化学物質(環境ホルモン)の一つで体内に入ると生殖機能に影響し、発がん性も指摘されるものだ。子供の栄養剤からも見つかり、社会に動揺が広がっている。

 この可塑剤は通常、塩化ビニルを軟らかくするのに使う。衛生署(衛生省)によると、新北市の「イク伸香料(イクは日の下に立)」が製造した乳化剤の中に混入していた。コストを下げるため意図的に使った疑いがある。

 この乳化剤を使った飲食品メーカーが多数に上るため、27日までに回収されたスポーツ飲料は98万本、果汁・ジャムなどが4万2千トン、栄養剤粉末など27万箱で、調査の進展とともに増える可能性がある。また、問題のある飲料や乳化剤が中国、香港、フィリピン、ベトナム、米国に輸出されたことがあるという。衛生署は27日、原材料に乳化剤が含まれる飲食品を3日以内に総点検するよう関係業界に通知した。

 フタル酸ジエチルヘキシルは、日本では調理用手袋から溶け出して食品に移り、問題になったことがある。