出生時に低体重、生活習慣病の傾向

 出生時の体重が軽かった人は生活習慣病になりやすい傾向があることを、国立循環器病センター(大阪府吹田市)のチームが明らかにした。男性は総コレステロール値が高く、女性は高血圧になりやすかった。胎児のころの低栄養の反動で、栄養を抱え込む性質を持った可能性があるという。名古屋市で12日から開かれる日本周産期・新生児医学会で発表される。

 チームは、06〜08年に同センターで検診を受けた男性521人、女性720人の計1241人(40〜69歳)を対象に調査。出生時の体重2500グラム以下、3500グラム以上、その間(2500〜3500グラム)の3群に分け、血圧や血糖値、コレステロール値などを比較した。

 その結果、男性では出生時の体重が軽いほど、総コレステロール値と「悪玉」とされるLDLコレステロール値が高かった。女性では高血圧の傾向があった。

 チームの桂木真司医長(周産期治療科)によると、出生時の体重は70年代以降は減少傾向にあり、妊婦の体重も平均で1キロ近く少ないという。若い女性の「やせ願望」が背景にあるようだ。

 桂木さんは「母親の体重が軽いと新生児の体重も軽くなる傾向がある。『小さく産んで大きく育てる』というのはだめ。太り過ぎも危険だが、妊娠時はダイエットのことはあまり気にし過ぎないでほしい」と話す。

英国人科学者、人工精子を製造したと主張

 英国人科学者が8日、科学論文上で世界で初めて人工精子を肺幹細胞から製造したと発表した。今後人工精子によって不妊症男性の受精に寄与することが期待されると発表者らは主張している。

 英ニューキャッスル大学の研究主任Karim Nayernia氏は、不妊症男性が実際に人工精子によって受精するには今後10年の研究期間が必要であるという。なお、ネズミでは同様の方法で子ネズミを誕生させることができたという。研究内容は「ジャーナル・ステム・セルズ・アンド・デベロップメント」誌で発表された。肺幹細胞は体内のいかなる細胞にもなることができ、科学者らはこの性質を活かして肺幹細胞から脳細胞、膵臓、心臓、血管などの組織を製造している。

 現時点ではNayernie氏率いる研究者チームの論文が発表された段階であり、まだ論文で発表された人工精子が本当に精子の機能を果たすといえるのかどうかについては、一部科学者らから反論も出ている。一部では、発表された人工精子は明らかに異常であると反論している。

 英国法では人工精子から受精卵を製造することは禁止されているが、研究者らは不妊症の研究のために人工精子を製造していると主張している。一部英国立法者らの中では、不妊症治療の可能性のために、法改正をするべきだとの声も聞かれている。

親の15%が幼児にサプリ 過剰摂取「有害の恐れ」

 幼稚園や保育所に通わせている保護者の15%が、ビタミンなど特定の成分を濃縮した健康食品のサプリメントを、子どもに与えていることが6日、国立健康・栄養研究所(東京)が初めて実施した調査で分かった。

 保護者の6割は「栄養補給」が利用目的と回答。食生活に何らかの改善が必要と感じて、サプリに頼る実態が浮かんだ。

 研究所は、幼児への有効性や安全性など検証したデータは乏しいとし「身体に必要な成分でも安易に与え続けると過剰摂取につながり、幼児に有害な作用が出る恐れがある」と注意喚起している。

 調査は2007年5月から9月に青森、山形、茨城、栃木、埼玉、千葉、香川の7県の幼稚園や保育所計21カ所で実施。子どもの年齢は6歳までで、保護者2125人のうち1533人から回答を得た。

 結果によると、口の中で溶ける錠剤や粉末、カプセルなどのサプリを、15%に当たる228人が子どものため利用したことがあると答えた。

 利用者のうち68%の154人が「ビタミンやミネラルのみ与えている」と回答。32%の74人は「そのほかも利用」と答え、33人は、脳の発達に良いなどと宣伝されるドコサヘキサエン酸(DHA)を含有する魚油系のサプリを利用。次いでプロテイン、キシリトールが各7人、ハーブが6人などだった。

 利用目的(複数回答)では「栄養補給」が140人で最多。「健康増進」58人、「病気予防」42人、「体質改善」27人と続いた。また106人が「たまに利用」と回答。「以前に利用」が90人、「毎日利用」は32人いた。