妊婦の飲酒は一切ダメ

(CNN) 米小児科学会がこのほど発表した報告書で、妊婦に対して「アルコールは一切飲んではいけない。たとえ少量であっても絶対にダメ」と呼びかけた。

報告書では、飲酒は妊娠中のどの段階においても安全とみなすことはできないと強調。生まれながらの障害や生後の認知問題の筆頭原因としてアルコールを挙げ、飲酒しなければこうした障害は予防できるとした。

米国以外でもほぼすべての国が、妊婦に飲酒を慎むよう呼びかけている。例外として英国とイタリアでは、飲酒は良くないとしながらも、もし飲む場合は週に1?2回、1杯程度にとどめるよう勧告している。

米疾病対策センター(CDC)が2011〜13年に実施した調査では、妊娠中の女性の10人中1人は過去30日以内にアルコールを飲んだことがあると回答。大量に飲んだという妊婦は33人中1人の割合だった。

小児科学会では、妊婦が1日に1杯飲んだだけでも生まれてくる子どもの発達障害の危険が高まると指摘。聴覚や視覚、心臓、骨、腎臓などに問題が生じる可能性があるほか、情報処理能力などの問題や、注意欠陥多動性障害(ADHD)の原因にもなるとしている。

妊娠3カ月目までに飲酒した女性の子どもにそうした疾患や障害が生じる可能性は、飲酒しなかった女性の子どもに比べて12倍、妊娠6カ月目までは61倍、9カ月の妊娠期間を通じて飲酒した場合は65倍に高まる。

一部には、適度な量の飲酒にとどめれば認知問題や行動問題にはつながらないという研究報告もある。

しかし専門家は、たとえそうした研究が正しかったとしても、アルコールに対する反応には個人差があり、一切飲まないに越したことはないとアドバイスしている。

甲状腺ホルモン不足、ADHDと関連か?

妊娠初期の母親の甲状腺ホルモンの血液中の値が低いと、生まれてくる子どもの注意欠如・多動症(ADHD)の症状と関連していると分かった。
オランダ、エラスムス・メディカル・センターのT・モデスト氏らの研究グループが、小児科分野の国際誌ジャマ(JAMA)ペディアトリクス誌において2015年7月6日に報告している。
妊娠中の母親の甲状腺ホルモン不足は、子どもの認知発達に影響を及ぼす可能性がある。しかし、出生前の甲状腺ホルモン不足が子どもの行動に及ぼす影響については、あまり研究が行われていなかったと研究グループは説明している。
研究グループは、妊娠初期に母親が中度の甲状腺ホルモン不足だった場合、子どもの注意欠如・多動症と関連があるかについて検証した。
この研究は、オランダの出生コホート研究「ジェネレーションR」内で行われ、2002年4月1日から2006年1月31日に生まれた子どもを青年期まで追跡した。母親の甲状腺値に関するデータがある親子4997組のうち、77.5%にあたる3873組を対象として詳しく調べた。
母親の低甲状腺ホルモン値(甲状腺刺激ホルモン、遊離サイロキシン、甲状腺ベルオキシダーゼ抗体)を、平均妊娠13.6週で測った。子どもの注意欠如・多動症の症状は、「コナーズ評価尺度」と呼ばれる方法で8歳時点に評価した。
性別、民族、母体年齢、妊娠に関する教育レベル、収入といった子どもと母親の条件で調整した上で分析した結果、妊娠初期の母親の低甲状腺ホルモン血症は、子どもが8歳時点での注意欠如・多動症の高スコアと関連していた。
注意欠如・多動症の傾向を示すスコアが7%高まるという結果。
この結果は、甲状腺ペルオキシダーゼ抗体値が高い女性を除いてもほとんど変わらなかった。子どものIQと一緒に存在しているならば自閉症症状で調整すると、関連性は弱まった。
子宮内で受けた影響が神経の発達に関係する可能性はある。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26146876