糖尿病について

糖尿病について


糖尿病はインスリンの相対的・絶対的不足にもとづく代謝性疾患であるが,単一疾患というよりは症侯群というべきで,1次性と2次性に大別される.
2次性は各種疾患または処置に続発するものであるが,1次性はさらに若年発症型と成人発症型に区分され,とくに前者は遺伝の関与が考えられ,
最近は白己免疫説が有力である.高血糖と糖尿を主症状とするが,2次的に脂肪・蛋白代謝も阻害され,重篤な場合はケトン血症,アシドーシス,糖尿病性昏睡を起こす。

1.臨床症状
若年発症型はるいそう著明,重篤であり,成人発症型は,肥満し,それほど重篤でない。
多飲,多食,多尿をもって始まる、尿は大量で、色はうすく,芳香を放ち,回数も頻繁
で夜問尿を認める。
多尿とともに口内乾燥,口渇を訴え,多量の水分を摂取する.また多食するにかかわら
ず,たえず飢餓感を訴え,しかも体重が減少する。
多少とも全身倦怠,脱力を訴え,とくに老人では嗜眠傾向が強い。
化膿しやすく,フレグモーネ,湿疹,潰瘍,亀頭炎,外陰炎などの皮膚化膿疾患を??
示すほか,全身掻痒をしぱしば訴える、また肺化膿症,胆嚢炎など他臓器の化膿症も多く
みられる、これら化膿症により原疾患は悪化し,また今まで有効であった治療が有効でな
くなる.疾患が長く存在すれぼ動脈硬化を来し,脳動脈硬化症,心筋梗塞,萎縮腎、網膜
出血などを合併する、このほか多発性神経炎,白内障,肺結核も含併症としてしばしばみ
られる.疾患重篤であればケトン血症,アシドーシスを来し,進行すれば糖尿病性昏睡を
来Lて死亡する。
2 検査所見
尿糖と血糖の検査が最も重要である.
a)尿:
尿量1日3,OOO〜4,OOOmlに及び,色はうすく.
比重大きく(しぼLぱ1,030〜1,040),芳香臭を有する。
尿糖は定性で陽性を示し,定量で1日数gから100g以上に及ぶ糖を排泄する.
この他ケトン体(アセトソ,アセト酢酸,β一オキシ酩酸)が陽性を示すことがある。
腎障害を伴えぼ尿蛋白陽性となり,また沈渣にも異常を示す。
b)血糖:
尿糖はいろいろの場合に陽性を示すので,確実な診断根拠とならな
い.確実に診断を下すためには血糖の検査が必要である.血糖は通常空腹時血糖の検査
を行うが,糖質代謝に軽度の異常があっても.空腹時血糖が正常値(70〜110mg/dl)に近
いことがあるので、一定量の糖質を負荷L,食餌性高血糖の程度を検査する必要がある。
血糖試験:もっぱらブドウ糖の還元性を利用する方法(Hagedorn-Jensen法,Folin-
Wu法,Somogyi法)が広く行われているが,最近はアンスロン試薬による比色法
glucose-oxidaseによる測定法が行われている。
Hagedorm-Jensen法:糖の還元力を利用し,フェリシアンカリをフェロシアンカリ
とし残ったフェリシアンカリをヨードで滴定し,還元物質の量を知る方法である。
Nelson-Somogyi法:糖によって還元されて生じた1価の銅に酸性アルセノモリブデン
酸溶液を作用させ,生じた青色を比色する。
Harding試薬による比色法:等張のNa2SO4液でうすめた血液をタングステン酸ソ
一ダで除蛋白しこれにHarding試薬を加えて生ずる酸化銅にアルセノモリブデン酸
を加えると安定な青色を生ずるので,これを比色する。
いずれも耳朶または静脈血より患者血液を採血L,除蛋白後検査を行うもので,正常
値は70〜120mg/dlである。
糖質負荷試験glucose tolerance test(GTT):試験食として坂口食(米飯270g,鶏
卵1〜2個)を与えるか,ブドウ糖50gまたは100gを経口投与し投与前ならびに投
与後30分毎に3時問まで患老の毛細管(耳朶)または静脈より採血し,そのおのおのにつ
き血糖を測定する.健康者の血糖は投与後30〜60分で最高となり,その値は140mg/dl
を大きく越えることはなく,1.5?2時間でほぽ投与前値に戻る.もし最高値が150mg/
dlを越えるか,2時間以上たっても130mg/dl以下に低下しないならば,糖同化機能
は減退Lているものと考えられる。
c)インスリン測定:未治療の糖尿病ではGTT試験と同時にイソスリンを測定すれ
ぱ,診断ばかりでなく重症の程度も判断できる、radioimmunoassayによる血中インス
リン値は空腹時0〜50μU/ml,糖負荷時20〜300μU/mlである、またすでにイソスリ
ン治療をうけている患者では,抗インスリン抗体を有するため、radioimmunoassay
によるインスリンの測定はできない.このような患者では最近イソスリンの前駆物質と
見なされるC-ペプチドの測定が行われている。
3.診断
多飲,多尿,多食,体重減少などの臨床症状があり、尿糖が陽性で血糖値が異常高値
を示せぱ診断は容易である.しかし糖尿病が軽症の場合は尿糖陰性で,血糖値の上昇をみ
ないこともあるから,いやしくも糖尿病が疑われる場合には,尿糖,血糖の検査のみでな
く,必ず糖質負荷試験を行なって,血糖曲線の推移も詳細に検討しなけれぼならない。
4.診断基準
上述のような軽症糖尿病か否かを判定するため下記のような診断基準がもうけられ
ている.血糖が糖尿病域にあっても下記に示す如き疾患または状態を除外する必要が
ある。

日本糖尿病学会診断基準委員会の勧告したGTTの判断基準

GTTが糖尿病型を示す可能性のある疾患又は状態

東洋医学的治療は、主に脾経のツボを使います、又、波及している経絡も使います。

糖尿病性腎症の仕組みを解明 岡山大グループ
特定分子が関与

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の四方賢一准教授(48)=腎・免疫・内分泌代謝内科学=と、同大医療教育統合開発センターの片岡仁美助教(34)=同=らのグループは、糖尿病3大合併症の1つである糖尿病性腎症の発症にかかわる分子を突き止めた。有効な治療法が確立されていない同腎症の治療薬開発への応用が期待される。

 米糖尿病学会誌に発表した。

 糖尿病性腎症は、血液をろ過し尿をつくる腎臓の毛細血管が高血糖下で炎症を起こし、腎機能が低下する病気。

 四方准教授らは、白血球の一種「マクロファージ」が高血糖で活性化し、腎臓に入り込んで炎症を起こすことを既に発見。どのような仕組みで炎症が起きるか詳しく調べたところ、「スカベンジャーレセプター」と呼ばれる分子を表面に多く発現したマクロファージが、腎臓に増えていることを突き止めた。

 この分子を発現しないよう操作したマウスでは、糖尿病を発病させても炎症が抑えられることを確認。スカベンジャーレセプターの働きで、マクロファージが腎臓に入り込んで炎症を引き起こすことが分かった。

 糖尿病性腎症は、透析の原疾患の第1位。2005年末現在、国内で約25万7000人の透析患者の3分の1を占める。

 四方准教授は「スカベンジャーレセプターの機能を抑制する薬ができれば、糖尿病性腎症だけでなく動脈硬化にも有効だろう」と話している。

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