山梨大核排除マウス卵子からクローン 世界で初めて成功

遺伝情報を含む核を取り除いて冷凍保存したマウスの卵子から、クローンを作ることに世界で初めて成功したと、山梨大医学部と理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)が18日発表した。再生医療に必要な、体細胞クローン胚(はい)由来のES細胞の開発につながる技術として期待される。

 人のES細胞を作るには多くの卵子が必要だが、卵子の提供者が「遺伝子が不正利用されるのでは」と不安感を抱き、協力が得られにくいと懸念されていた。

 山梨大医学部の平田修司教授(産婦人科学)は「今回の技術が実用化されれば、不安感の軽減につながる」と話す。将来は、婦人科疾患で卵巣を摘出した患者から同意を得た上で、未受精卵子を採取する計画だ。

 平田教授によると、マウスの卵子から遺伝情報を取り除き、冷凍保存。その後、解凍した卵子からクローンを作る実験を行った。クローンマウスが生まれた確率は0.36%だった。通常の4%よりも低かったが、今後5年程度、動物実験を続け、改善を目指すという。

iPSから精子や卵子作製OK…文科省が指針案

 文部科学省の科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会は10日、人間のiPS細胞(新型万能細胞)や胚(はい)性幹細胞(ES細胞)などから精子や卵子を作ることを、研究目的に限って認める指針案をまとめた。

 受精卵の作製は禁止する。近く国の総合科学技術会議に諮問する。

 指針案によると、精子や卵子を作る際には研究の実施機関内で審査を行い、国へ届け出る。もとになる受精卵や細胞の提供者の同意が必要とし、作製後の譲渡は禁止する。

 国内でこれまでに作られたES細胞については、この同意が取られておらず、提供者を特定できないため、用いることができない。